●ポイント●
交通事故によるケガでも健康保険や公務員共済で治療ができます。
ただし、そのためにはあなたが加入している公的医療保険制度に「第三者行為の届け出」が必要です。

交通事故で健康保険は使えるの?

交通事故でも、健康保険、国民健康保険、公務員共済、船員保険を使って利用はできます。 病院で、「交通事故には健康保険は使えません。」と言われる事がありますが、それは間違いです。行政でも裁判所でも、以下のように判断がされています。

【厚生労働省】は、
「最近、自動車による保険事故については、保険給付が行われないとの誤解が被保険者等の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変りがなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。」との通達を出しています(1968年10月12日保険発第106号「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」)。

【大阪地方裁判所昭和60年6月28日の判決】では、「国民健康保険法は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うことを目的とし・・・同法に基づく療養保険給付は絶対的必要給付であって・・・交通事故により負傷、疾病した被保険者に対し、療養保険給付が行われなければならないことは当然であって、これを排斥すべき理由はない。」という判断がなされています。

手続きと流れ

交通事故で健康保険を利用する場合の手続の流れや書類について、説明します。

1.まず健康保険へ連絡
 健康保険組合(国民健康保険の場合は役所)に連絡し、①交通事故にあったこと、②治療に健康保険を使いたいことを伝えます。
そうすると、「第三者行為による傷病届」についての書類が送られてきます。交通事故の場合は、この書類を提出しなければなりません。

●なぜこの書類が必要なの?
交通事故で加害者がいる場合、被害者の損害は、全て加害者が賠償をすべきです。したがて、健康保険が被害者に療養費の給付等をした場合、加害者に代わって立て替えた事になるのです(通常、健康保険での治療は患者が3割負担。といことは、7割は健康保険が立替えている。)。
そこで、健康保険は、後から、立替分の金額を加害者に返還してもらうよう求めます。「第三者行為による傷病届」はその手続のために必要になります。

2.その他必要な書類
①交通事故証明書
 まず、交通事故が起きたことを警察へ届け出る事が必ず必要です。その上で、自動車安全運転センターのホームページから、インターネットで申請ができます。
また、必要事項を記入のうえ、最寄りのゆうちょ銀行・郵便局に手数料を添えて申込みする事でも取得できます。交付手数料は1通につき540円です。 このほか、ゆうちょ銀行・郵便局の払込料金がかかります。
②事故発生状況報告書
事故の状況を説明する書類です。書式に沿って図等を書いて事故の発生状況を説明する書類です。
③念書・同意書
健康保険組合が支払った治療費について、健康保険組合が加害者に対する損害賠償請求権を取得することに異議を述べないこと等を約束する書類です。
④誓約書
健康保険組合が支払った治療費をお支払いしますという内容の加害者の誓約書です。加害者に署名捺印してもらいます。健康保険からはもらってほしいと言われますが、加害者からそのような書類をもらうのは、通常難しいでしょう。
 取得が難しいことを説明すれば、ほとんどの場合提出は不要という事になるので大丈夫です。

3.このような書類を提出し、病院には、「健康保険を使って治療をしたい」と申し出しましょう。
 手続きはこれだけです。