入通院、看護、お見舞いのための交通費について

入院・通院の交通費

入院・通院の交通費

交通事故に遭った場合、被害者本人の入院・通院に必要であった交通費は、バスや電車等の公共交通機関を利用した場合は、現実に支出した額を、加害者に請求することができます。

しかし、タクシーやハイヤーを利用した場合は、タクシーなどを利用せざるを得ない事情がないと認められません。どのような場合に認められるかは、怪我の程度や部位、年齢等を考慮して、ケースによります。
ただし、一般的なむちうちの場合は、認められるケースは少ないと言えます。
よく問題となるのが、タクシーを利用した後に、保険会社に請求したら、「出ません」と言われ、自腹となることがあります。
保険会社が付いている場合で、タクシーを利用する場合は、保険金で支払われるかどうか事前に確認することをおすすめします。

タクシーによる通院交通費を認めた事例

●大阪地裁平成7年3月22日
病院への通院は、公共交通機関を利用したら、自宅から駅まで徒歩1時間かかるケースで、タクシー利用はやむを得なかったとして、タクシー代235万円をみ認めた。

●大阪地裁平成26年3月27日
外部醜状の大学生(女性・20代)について、公共交通機関を利用しての通院が不可能ではないが、顔面を負傷していたため、人目をはばかる心情も理解できないものではないことを考慮し、タクシー代12万円を認めた例。

車での通院の場合は、自宅と治療先の通院距離に対して、15円/kmの計算で、ガソリン代相当の金額を請求することができます。また、場合により、駐車場代や高速道路代などの実費も請求することができます。

看護・見舞いのための交通費

入院または通院している被害者に家族などが付添の看護をするために支出した交通費は、場合によって認められます。

●札幌高裁平成13年5月30日
女子小学生が、頭がい骨骨折、急性硬膜下血腫等で1840日間入院したケースで、入院付添交通費として、父親のお見舞いの交通費60万円、母親について4万5000円、叔母について1万7400円等を認めた例。

●京都地裁平成26年10月31日

21歳の男子大学生が、右不全麻痺等(後遺障害9級)の障害が残ったケースで、入院付添費日額6500円、14日間を認めたほか、付添人交通費として10万円余を認めた例。

お見舞いのための交通費は、基本的には否定されますが、以下のようなケースで認められています。
結局、必要性があるかどうかで判断がされます。

●東京地裁平成24年7月18日
死亡した5歳男児について、事故の発生を知って駆け付けた祖父母4名の駆け付け費用として、飛行機代等17万円を認めた。

●札幌地裁平成13年12月5日

脳挫傷、くも膜下出血などで、266日入院した66歳女性につき、長男が見舞いのために単身赴任先から帰宅した際の電車代などについて、週1回よりも多数回戻っているとしても、被害者の症状からこの程度の回数の見舞いをすることは親を思う心情からは当然であるとして、1回7800円、78回分を認めた例。