死亡慰謝料について

このページでは、死亡事故が起きてしまった場合に、加害者に対して、遺族の方が請求できる慰謝料について解説します。

慰謝料とは、精神的損害に対する金銭賠償のことです。

死亡慰謝料は、交通事故に遭って、死亡された被害者の精神的苦痛に対する賠償のことを言います。

慰謝料請求権は、交通事故に遭った本人しか請求できないのが原則です。

もっとも、現在では、判例により、死亡した方の慰謝料請求権は、相続人が相続すると認められております。
つまり、相続人が、死亡してしまった本人に代わって、加害者に慰謝料を請求するのです。
さらに民法711条では、死亡した被害者だけではなくその近親者についても近親者固有の慰謝料を認めています。
つまり、近親者は、上で説明した「相続した慰謝料請求権」以外に、近親者固有の慰謝料を請求できます。

近親者とはどこまでを含むか

民法711条には、請求権者は、「被害者の父母、配偶者、子」と規定されていますが、それ以外の近親者について認められるかという問題があります。
これについては、最高裁昭和49年12月17日判決において、「被害者との間に同条所定のものと実質的に同士すべき身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けたものについては同条の類推適用により加害者に対して直接に固有の慰謝料を請求しうる」と判断しました。

この判例は、身体障害があり、被害者と長年にわたり同居し生活を維持し、将来もその継続を期待していた、被害者の夫の妹に固有の慰謝料請求票を認めたものです。

判例では、

・会社員について約9年間事実上夫婦として暮らしていた内縁の配偶者に1千万円を認めた事例(大阪地裁平成9年3月25日)

・胎児について
出産予定日の4日前の事故により死産したとして800万円を認めた事例(高松高等裁判所平成4年9月17日)

・その他、妹や兄について固有の慰謝料を認めた事例等があります。

 

なお、被害者が死亡した場合だけではなく重度の後遺障害が残ってしまった場合にも、近親者固有の慰謝料請求権が認められるとするのが判例です。

 

死亡慰謝料金額(近親者固有慰謝料も含む)の、一応の目安は以下の通りです(具体的な事情により増減します)。

●死亡したのが一家の支柱    2800万円
●死亡したのが母親または配偶者 2500万円
●その他     2000万円~2500万円

※その他とは、独身の男女、子供、幼児等です。
※この基準は死亡慰謝料の総額です近親者固有の慰謝料も含みます
※具体的な事情により増減されることがあります

 

つまり、交通事故の死亡慰謝料の金額は被害者の家族内での地位や属性によって異なり、被害者が一家の支柱である場合は2800万円、母親・配偶者の場合は2750万円、その他の場合は2000万円~2750万円と大体決まっています。

慰謝料の増額理由としては、例として以下のようなものがあります。

 

⑴ 加害者に故意または重過失(無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反、殊更の信号無視、薬物などの影響により正常な運転ができない状態で運転するなど)又は著しく不誠実な態度がある場合等

・主婦(56歳)について、工事規制の高速道路上で、渋滞のため徐行していた被害者に前方不注視のうえ、制限速度を40キロ超過して走行していた加害者が追突した事故態様等から、本人分2600万円、夫250万円、息子二人各100万円、父50万円、合計3100万円をみとめた事例(東京地裁平成24年8月27日)

 

⑵ 被害者の親族が精神疾患に罹患したケース

・小学生(十歳)の死亡事故について、本人文2200万円、父母各200万円 、姉が目前でトラックに轢かれた姿を目撃し、事故後自動車を恐れて学校を休みがちになり、強い不安や不眠などの症状によりセラピーを受け、重度ストレス反応との診断を受けた妹につき、400万円の、合計3000万円を認めた事例(水戸裁判所平成19年5月22日)

 

⑶その他

・小学生(8歳)の死亡事故につき、不起訴処分に対し両親が真相究明を求め、粘り強い努力をした結果全容が解明されたとして、慰謝料が増額された事例( 東京地方裁判所平成13年3月15日)

 

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