紛争の内容
本事例は、ご依頼者様が自動車を運転中に発生した物損交通事故に関するものです。

事故後、相手方保険会社からは、当初「ご依頼者様側に60%の過失がある(60:40でこちらが悪い)」との過失割合を主張され、さらに車両の損害額についても不当な減額を求められるという状況にありました。

ご依頼者様は、ご自身の過失割合が不当に高いこと、そして車の損害額が適正に評価されていないことに納得がいかず、当事務所にご相談されました。

交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼を受け、当事務所は直ちに事故状況の詳細な聞き取りを行い、ドライブレコーダーの映像、現場写真、修理見積書などの証拠を収集・精査いたしました。

その結果、客観的な証拠から判断すると、むしろ相手方により重い過失がある可能性が高いと判断し、交渉方針を策定いたしました。

まずは、相手方保険会社に対し、当事務所の見解に基づいた適正な過失割合(相手方40%:ご依頼者様60%)と、修理見積書に基づく適正な車両損害額を提示し、書面にて請求を行いました。

交渉の過程では、相手方保険会社は当初の主張を維持し、過失割合や損害額について譲歩しようとしませんでした。
当事務所は、収集した客観的な証拠を具体的に示し、事故状況における相手方の不注意点を明確に指摘するとともに、過去の裁判例や類似事案における過失割合の傾向を根拠として提示しました。

また、修理見積額の妥当性についても、専門的な知見に基づき詳細に説明し、安易な減額には応じられない旨を粘り強く伝えました。

調停や訴訟といった法的手続きへの移行も視野に入れつつ、粘り強く交渉を重ねた結果、相手方保険会社は当方の主張を認め、示談による解決に応じることとなりました。

本事例の結末
最終的に、当初相手方保険会社が主張していた過失割合「ご依頼者様側60%:相手方40%」が逆転し、「相手方60%:ご依頼者様40%」という、当事務所が主張する適正な過失割合で合意が成立いたしました。

さらに、車両の損害額についても、相手方保険会社からの不当な減額要求を退け、ご依頼者様の言い分通りの満額で示談が成立しました。

ご依頼から約3ヶ月という比較的短期間で、ご依頼者様にとって納得のいく形で紛争が解決されました。

本事例に学ぶこと
本事例は、交通事故の物損事故であっても、安易に保険会社の提示を受け入れることなく、専門家である弁護士が介入することで、状況が大きく好転する可能性があることを示しています。特に、以下の点が重要な教訓となります。

・客観的な証拠の重要性: ドライブレコーダーや現場写真など、事故状況を客観的に示す証拠を早期に確保し、専門家が詳細に分析することで、交渉を有利に進めることができます。
・過失割合の争点化: 保険会社から提示される過失割合が必ずしも適正とは限りません。法的根拠に基づき、粘り強く交渉することで、不合理な主張を覆せる可能性があります。
・損害額の適正な評価: 修理見積書や時価額など、車の損害額についても詳細な根拠をもって主張することで、保険会社からの減額要求に対応し、適正な賠償額を獲得することができます。
・早期の弁護士相談の有効性: 交渉が初期段階で暗礁に乗り上げたとしても、弁護士が早期に介入し、専門的な知識と交渉力をもって対応することで、長期化することなく早期解決に繋がる場合があります。

保険会社の主張に疑問を感じたら、まずは諦めずに弁護士にご相談いただくことの重要性を示す事例となりました。

弁護士 遠藤 吏恭