紛争の内容
ご依頼者様(男性・50代)は、運送会社に勤務する職業ドライバーでした。道路を走行中、前方左側の駐車場から相手方車両が安全確認を怠って急に道路に飛び出してきたため、衝突事故が発生しました。

この事故により、ご依頼者様はハンドルを強く握りしめた際に右手を捻挫し、約3ヶ月間の通院治療を余儀なくされました。

右手を使うドライバー業務に支障が出たため、休業せざるを得ませんでしたが、相手方保険会社は、路外からの飛び出しであるにもかかわらず過失割合についてわずかながらご依頼者様の過失を主張し、さらに休業損害も拒否しました。

交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼を受け、当職はすぐに警察の実況見分調書を確認し、路外からの飛び出しによる相手方の過失を主張しました。
また、休業損害については、ご依頼者様が職業ドライバーであり、右手捻挫では運転できないことを主張しました。

しかし、保険会社は過失割合、休業損害ともに自社の基準から譲歩せず、交渉は決裂しました。

そこで、当職はご依頼者様の代理人として、「紛争処理センター」に解決を申立てました。
紛争センターの席上では、ご依頼者様の具体的な運転業務内容と右手捻挫が業務に与える影響を詳細に説明し、適正な損害額の必要性を説きました。

本事例の結末
紛争処理センターにおける和解あっ旋手続の結果、路外からの飛び出しという事故態様が重視され、ご依頼者様の過失を最小限に抑えた有利な過失割合が認定されました。

また、休業損害についても、職業ドライバーとしての実収入に基づいた金額が認められ、当初の保険会社提示額から大幅に増額された金額で和解が成立しました。

ご依頼者様は、裁判を起こすことなく、紛争処理センターの利用により適正な賠償金を得て、問題を解決することができました。

本事例に学ぶこと
交通事故の交渉において、特に休業損害や逸失利益に関する主張が、保険会社との間で平行線をたどることは珍しくありません。

特に職業ドライバーのように業務内容が明確で収入水準が高い場合、その損害も大きくなります。

交渉で解決できない場合でも、すぐに訴訟に踏み切るのではなく、紛争処理センターという第三者機関を利用することで、裁判所基準に近い金額を、迅速かつ柔軟に獲得できる道があります。

保険会社の提示に納得できない場合は、粘り強い交渉と適切な手続き選択を行う弁護士にご相談ください。

弁護士 申 景秀