紛争の内容
高速道路(または幹線道路)において、相手方車両がご依頼者の方の直前に進路変更を行い、その直後に急ブレーキをかけたことで追突が発生した事案です。
相手方には弁護士がついており、追突した側の前方不注視を重く見て、当初は「ご依頼者の方 90:相手方 10」という極めて厳しい過失割合を主張していました。
相手方は、自らの急ブレーキには「前走車の割り込み」という正当な理由があったと主張し、追突までには3秒の猶予があったとして、ご依頼者の方の一方的な過失を強調していました。
交渉・調停・訴訟等の経過
交渉において、当職は双方のドライブレコーダー映像を精査し、以下の3点を中心に強く反論を行いました。
①進路変更の不適切性
相手方の車線変更自体が、ご依頼者の方との車間距離を十分に確保しない状態で行われた「急な割り込み」であることを指摘し、道路交通法第26条の2第2項違反(進路変更の禁止)を主張しました。
②回避不能性の立証
相手方が主張する「3秒の猶予」に対し、車線変更によってご依頼者の方の制動距離が著しく奪われた事実を突きつけ、物理的に回避不能な状況であったことを理論的に説明しました。
③過失相殺の修正要素
別冊判例タイムズの基本割合を安易に適用せず、相手方の「急ブレーキ」および「進路変更時の著しい過失(後方確認不十分)」を修正要素として考慮すべきであると粘り強く交渉しました。
本事例の結末
最終的に、相手方の主張を大きく退け、「ご依頼者の方 65:相手方 35」という条件で和解を成立させることができました。当初の90:10という主張から、相手方に35%の過失を認めさせたことは、事案の実態に即した大きな成果といえます。
本事例に学ぶこと
本事例において最も重要な鍵となったのは、客観的な証拠であるドライブレコーダー映像を、法的な観点からいかに緻密に評価するかという点にあります。
単に「追突した・された」という結果だけで判断すれば、追突側の過失が重くなるのが一般的ですが、事故に至るまでの先行車両の挙動や車間距離の推移を詳細に分析することで、形式的な基本割合を修正できる可能性が示されました。
また、相手方に弁護士がついている場合であっても、道路交通法の条文に基づいた論理的な反論を積み重ねることで、不当な過失割合を押し付けられる事態を回避し、実態に即した解決を導き出すことができると再認識した事案です。















