紛争の内容
ご依頼者様は、信号機のない横断歩道を横断中、左方から直進してきた自動車に接触し、左腕等を負傷されました。
ご依頼者様は、約半年間通院され、後遺障害が残存せずに通院が終了しました。
弁護士が介入する前に、相手保険会社から、休業損害約30万円及び傷害慰謝料約70万円の合計約100万円を支払うという内容の事前提示がなされました。

交渉・調停・訴訟等の経過
当事務所に示談交渉をご依頼いただきましたので、弁護士基準で損害額を計算しました。

相手保険会社の事前提示のうち、休業損害について相手保険会社は、事故前3か月間の給与の額面額合計を90日で除して日額を算出するという計算方法をとり、約30万円という金額を提示していました。
これについて、当方は、裁判官の講演録や裁判例を引用し、事故前3か月間の給与の額面額合計を実際の稼働日数で除して日額を算出するべきであると主張し、休業損害として約50万円を請求しました。

傷害慰謝料について、相手保険会社は任意保険基準に基づき算定し、約70万円という金額を提示していました。
これについて、当方は、弁護士基準(赤い本基準)で算定し、傷害慰謝料として約90万円を請求しました。

本事例の結末
相手保険会社は、休業損害についてはこちらの請求の満額を認め、傷害慰謝料についてはこちらの請求の9割以上を認めましたので、先方が約130万円を支払うという内容で示談を成立させることができました。

本事例に学ぶこと
保険会社は、休業損害について、本件のように、事故前3か月間の給与の額面額合計を90日で除して日額を算出するという計算方法をとることが多いです。
これに対しては、事故前3か月間の給与の額面額合計を実際の稼働日数で除して日額を算出するべきという内容の裁判官の講演録や裁判例が複数ありますので、保険会社との交渉では、これらを引用してこの計算方法を主張するべきです。

また、傷害慰謝料について、保険会社は任意保険基準で計算した金額を提示することが多いですが、こちらについても弁護士基準(赤い本基準)で計算し、交渉を行うことで、こちらの請求の満額に近い金額で示談とすることができることを学びました。

弁護士 時田 剛志
弁護士 権田 健一郎