紛争の内容:交通事故による怪我と保険会社との煩雑な交渉
ご依頼者様(Eさん・会社員)は、自動車を運転中に交差点で右折してきた相手方車両と衝突する交通事故に遭われました。

幸い命に別状はありませんでしたが、頚椎捻挫(いわゆる「むちうち」)と腰部打撲の診断を受け、整形外科への通院治療が必要となりました。

事故後、Eさんは相手方の任意保険会社と連絡を取り始めましたが、保険会社の担当者からの専門用語を交えた説明や、今後の手続きに関する煩雑なやり取りに不安とストレスを感じていました。

「治療に専念したいのに、保険会社との対応で気が休まらない」とのことで、事故から数日後に当事務所にご相談に来られました。

Eさんのご希望は以下のとおりでした。

保険会社との交渉は全て弁護士に任せたい。
まずはしっかりと治療に専念したい。
物損の賠償も適切に受けて、最終的には怪我に対する慰謝料も妥当な金額で解決したい。

交渉の経過:弁護士による事故直後からの包括的サポート
当職はEさんから正式にご依頼を受け、直ちに相手方保険会社に受任通知を送付し、今後の窓口は全て当事務所となることを伝えました。これにより、Eさんは保険会社からの直接の連絡から解放され、安心して治療に専念できる環境を確保しました。

交渉は以下の段階に分けて進めました。

治療期間中のサポートと物損交渉
Eさんには、医師の指示に従い、痛みや症状が改善するまでしっかりと通院治療を継続していただくようアドバイスしました。治療状況については定期的にEさんからご報告いただき、必要に応じて医療機関への照会も行いました。

並行して、車両の修理費用等の物損に関する交渉を相手方保険会社と進めました。修理見積もりの内容を精査し、代車費用なども含めてEさんに不利益がないよう交渉し、治療期間中に物損については先行して示談を成立させました。

治療終了後の慰謝料請求交渉
Eさんは約4ヶ月間の通院治療を経て、症状が改善し、医師から治療終了(症状固定)の診断を受けました。

治療終了後、当職はEさんの入通院期間、具体的な症状、治療経過などを詳細に聴取し、通院慰謝料を算出しました。
この際、保険会社が当初提示してくる自賠責基準や任意保険基準ではなく、弁護士基準(裁判基準)に基づき、約68万円の通院慰謝料を算定しました。

診断書、診療報酬明細書などの必要書類を揃え、算定根拠を明示した請求書を相手方保険会社に送付し、本格的な慰謝料交渉を開始しました。

当初、相手方保険会社は、自社の基準に基づいた低い金額(約30万円程度)を提示してきましたが、当職は、Eさんの具体的な症状の経過や、同種の事案における裁判例などを示しながら、弁護士基準での解決が妥当であることを粘り強く主張しました。
特に、Eさんが事故直後から継続して真摯に治療に取り組んできたこと、仕事への影響なども丁寧に説明しました。

本事例の結末:弁護士基準による通院慰謝料での示談成立
複数回にわたる交渉の結果、相手方保険会社もこちらの主張を理解し、最終的に通院慰謝料として約68万円(弁護士基準にほぼ満額)での示談が成立しました。

これは、当初保険会社が提示してきた金額の2倍以上の金額であり、Eさんにも大変ご満足いただける結果となりました。

Eさんからは、事故後すぐに先生にお願いして本当に良かったです。治療に専念できたし、慰謝料も思った以上の金額で解決できて感謝していますとのお気持ちをいただきました。

本事例に学ぶこと:事故直後からの弁護士への相談が有利な解決へ
本事例から学べることは以下のとおりです。

事故直後から弁護士に依頼するメリット
保険会社との交渉窓口の一本化
被害者は保険会社との直接のやり取りから解放され、治療や日常生活の回復に専念できます。

適切な治療へのアドバイス
弁護士は、適切な賠償を受けるために必要な治療の受け方や、証拠の残し方についてアドバイスできます。

不利な状況の回避
事故初期の保険会社とのやり取りで、被害者にとって不利な発言をしてしまったり、不適切な合意をしてしまったりするリスクを回避できます。

物損から人損まで一貫したサポート
物損の処理から、その後の人身損害の賠償請求まで、トータルでサポートを受けることができます。

慰謝料算定における「弁護士基準(裁判基準)」の重要性
交通事故の慰謝料には、①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士基準(裁判基準)という3つの基準があります。
この中で最も高額なのが弁護士基準であり、弁護士が介入することで、この基準に近い金額での解決が期待できます。
被害者本人が交渉しても、保険会社が弁護士基準で対応することは稀です。

通院期間と慰謝料の関係
通院慰謝料は、原則として入通院期間や実通院日数に応じて算定されます。
医師の指示に従い、必要な治療を継続することが、適切な慰謝料を受け取るためには重要です。
自己判断で通院を中止したり、不定期な通院になったりすると、慰謝料が低く算定される可能性があります。

示談交渉における弁護士の交渉力
保険会社は交渉のプロであり、様々な理由をつけて賠償額を低く抑えようとすることがあります。
弁護士は、法的な知識や過去の裁判例、交渉のノウハウを駆使して、被害者の正当な権利を主張し、より有利な条件での示談成立を目指します。

交通事故は、いつ誰の身に起こるか分かりません。万が一、事故に遭われてしまった場合には、できるだけ早く、交通事故に強い弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
早期にご相談いただくことで、より有利な解決に繋がる可能性が高まります。

当事務所では、交通事故被害者の方々の立場に立ち、親身かつ迅速な対応を心がけております。
初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

弁護士 時田 剛志