交通事故による鎖骨骨折の後遺障害と慰謝料|変形・機能障害の等級と示談金を弁護士が解説

※本記事は、さいたま市大宮区にある、埼玉県内でトップクラスの弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の交通事故集中チームの弁護士が執筆しています。

交通事故で転倒したり、直接肩口を打ち付けたりした際に起きやすいのが鎖骨骨折です。「骨がくっついた」と言われたのに、肩の動きが悪い、鎖骨が盛り上がっている、腕を上げると痛みが出るという後遺症が残るケースは少なくありません。

鎖骨骨折は骨折の中でも後遺障害が残りやすい部位の一つです。この記事では、鎖骨骨折の治療・後遺障害等級・慰謝料相場・保険会社への対応方法について、弁護士が詳しく解説します。

1.鎖骨骨折の特徴と治療期間

1.鎖骨骨折の特徴と治療期間

鎖骨は肩と胸骨をつなぐ細長い骨で、転倒・衝突・直接打撲などで折れやすい骨の一つです。交通事故では、バイク事故・自転車事故・歩行者事故などで多く見られます。

治療は保存療法(三角巾・鎖骨バンドで固定)か手術療法(プレート・ピン固定)で行われます。一般的な治癒期間の目安は以下の通りです。

骨折の種類・程度治療期間の目安
単純骨折(ずれが少ない)6週〜3ヶ月程度
転位骨折(骨がずれている)3〜6ヶ月程度(手術後)
粉砕骨折・複雑骨折6ヶ月〜1年以上

骨がくっついた(骨癒合)後も、肩関節の可動域制限・変形・痛みが残存するケースが多く、これらが後遺障害認定の対象となります。

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2.鎖骨骨折で残りやすい後遺障害

2.鎖骨骨折で残りやすい後遺障害

① 変形障害

鎖骨骨折後に骨が変形して癒合した場合(変形治癒)、鎖骨の盛り上がり・段差が生じます。外見上の変形が残る場合、「変形障害」として後遺障害認定の対象となります。

② 機能障害(肩関節の可動域制限)

鎖骨骨折後に肩関節の動きが制限される場合、「機能障害」として認定されます。肩を上げる・腕を横に広げるなどの動作に制限が生じるケースが多く見られます。

③ 神経症状(疼痛・しびれ)

骨折部位周辺の神経が損傷し、腕・手先のしびれや疼痛が残る場合があります。特に鎖骨下の神経叢(腕神経叢)への影響が出ると、握力低下・巧緻運動障害が生じることもあります。

3.後遺障害等級と慰謝料

3.後遺障害等級と慰謝料

鎖骨骨折の後遺障害等級は、主に「変形障害」「機能障害」「神経症状」の観点から判断されます。

後遺障害の種類等級認定基準(目安)弁護士基準慰謝料
変形障害12級5号鎖骨の変形が明らかに認められる290万円
機能障害(著しい機能障害)10級10号患側の肩関節の可動域が健側の1/2以下550万円
機能障害(機能障害)12級6号患側の肩関節の可動域が健側の3/4以下290万円
神経症状(頑固)12級13号画像所見で客観的に証明できる神経症状290万円
神経症状14級9号医学的に説明可能な神経症状が残存110万円

※あくまで目安です。任意保険会社の提示額は、これよりも大幅に低いことがほとんどです。

変形障害と機能障害が両方残った場合、より重い等級が採用される「吸収」の原則が適用されることもありますが、双方を合わせて「併合」認定される場合もあります。複数の後遺障害が残存している場合は、弁護士に相談して最大限の等級取得を目指してください。

4.後遺障害認定のために必要な準備

4.後遺障害認定のために必要な準備

① 肩関節の可動域測定を正確に行う

機能障害の認定には、健側(怪我していない側)と患側(怪我した側)の関節可動域の比較が重要です。症状固定時に、医師に依頼して正確な可動域測定を実施してもらい、後遺障害診断書に記載してもらってください。「自動値(自分で動かした場合)」と「他動値(医師が動かした場合)」の両方を測定してもらうことが重要です。

② 画像検査(X線・CT)を保存する

変形障害の認定には、骨の変形が画像所見で確認できることが重要です。事故直後からの画像(変形前・変形後の比較)を保存しておいてください。

③ 症状を一貫して医師に伝える

「骨はくっついたから大丈夫」と言われても、痛みや可動域制限が残っている場合は必ず医師に伝えてください。カルテへの記録が後遺障害認定の証拠となります。

「鎖骨骨折が治ったと言われたが肩の動きが悪い」「変形が残っている」「後遺障害について」
という方は、後遺障害の可能性があります。
グリーンリーフ法律事務所にお気軽にご相談ください。

5. 損害賠償を左右する「3つの算定基準」

5. 損害賠償を左右する「3つの算定基準」

交通事故の慰謝料には3つの基準がありますが、膝蓋骨粉砕骨折のような重傷事案では、どの基準を使うかによって賠償金が数倍、金額にして数百万円から一千万円以上の差が出ることがあります。

1.自賠責基準

全ての車両に義務付けられた最低限の補償です。慰謝料は「1日4,300円」をベースに計算され、上限も低く設定されています。

2.任意保険基準

加害者側の保険会社が提示する独自の基準です。自賠責よりは高いことが多いものの、被害者様が被った本当の苦痛を補うには不十分なケースが大半です。

3.弁護士基準(裁判基準)

過去の裁判例に基づいた適正な基準です。私たち弁護士が交渉に入る際はこの基準を用います。

膝蓋骨粉砕骨折で入院が長引いたり、後遺症が残ったりした場合、保険会社は「これ以上は出せません」と任意保険基準での示談を急かしてくることがありますが、弁護士が介入することで、最も高額な「弁護士基準」での解決を目指すことが可能になります。

6. 1日いくらになる?計算の仕組みと具体例

6. 1日いくらになる?計算の仕組みと具体例

自賠責基準における日額の考え方

自賠責保険では、1日あたりの慰謝料は原則として4,300円と定められています。計算対象となる日数は、「治療期間」と「実際に通院した日数の2倍」を比較して、少ない方の数字が採用されます。

例えば、治療期間が180日(約6ヶ月)で、そのうち実際に病院へ行ったのが50日だった場合、50日×2=100日となり、100日分(4,300円×100日=43万円)が支払われます。

弁護士基準では「1日」という考え方ではない

弁護士基準(裁判基準)では、日額という概念ではなく「入通院の期間」をベースに、いわゆる「赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)」の算定表を用いて計算します。

弁護士基準では、むちうちなどの他覚所見がない場合(別表Ⅱ)と、骨折などの重傷の場合(別表Ⅰ)で表を使い分けます。膝蓋骨粉砕骨折は当然「別表Ⅰ(重傷)」が適用されます。

例えば、入院2ヶ月・通院4ヶ月(計6ヶ月の治療)の場合、弁護士基準では入通院慰謝料だけで約130万円〜150万円程度が相場となります。これを自賠責基準で計算すると前述の通り約43万円となり、その差は100万円以上にもなります。

7. 後遺障害等級と慰謝料と逸失利益の計算方法

7. 後遺障害等級と慰謝料と逸失利益の計算方法

後遺障害の慰謝料

治療を尽くしても痛みが残った場合、後遺障害等級の申請を行います。等級が認定されれば、「後遺障害慰謝料」と、将来得られるはずだった収入の減少を補う「逸失利益」が追加で請求可能になります。後遺障害等級は、症状の重さに応じて最も重い1級から最も軽い14級まで区分されています。等級が認定されるかどうか、また何級に認定されるかによって、後遺障害慰謝料や逸失利益の額が数百万円〜数千万円単位で変わってきます。

後遺障害等級裁判基準労働能力喪失率
第1級2,800万円100/100
第2級2,370万円100/100
第3級1,990万円100/100
第4級1,670万円92/100
第5級1,400万円79/100
第6級1,180万円67/100
第7級1,000万円56/100
第8級830万円45/100
第9級690万円35/100
第10級550万円27/100
第11級420万円20/100
第12級290万円14/100
第13級180万円9/100
第14級110万円5/100

逸失利益の計算式

逸失利益は以下の計算式によって算定されます。

1年あたりの基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

  • 基礎収入:事故にあった方の事故時の収入
  • 労働能力喪失率:後遺障害によりどの程度労働ができなくなるかの率(10級なら27%、12級なら14%、14級なら5%が目安)
  • 労働能力喪失期間:症状固定の日から67歳までとされています
  • ライプニッツ係数:将来分を一括受領するため中間利息を控除するための係数

例えば、年収500万円・40歳の方に12級7号(機能障害)が認定された場合、500万円×14%×労働能力喪失期間(27年)のライプニッツ係数(17.985)=約1,259万円が逸失利益の目安となります。

よくある質問(Q&A)

よくある質問(Q&A)

Q:「骨がくっついた」と言われましたが、まだ肩が上がりません。後遺障害は認定されますか?

A:はい、認定される可能性があります。骨の癒合と肩関節の機能回復は別問題です。症状固定時に肩関節の可動域が健側の3/4以下に制限されていれば12級、1/2以下であれば10級の認定が見込めます。症状固定前に弁護士にご相談ください。

Q:鎖骨が盛り上がって変形しています。後遺障害として認定されますか?

A:変形が明らかに認められる場合、12級5号「鎖骨に変形を残すもの」として認定される可能性があります。X線画像で変形が確認できることが重要です。

Q:さいたま市以外の事故でも相談に乗ってもらえますか?

A:もちろんです。当事務所は大宮にございますが、埼玉県内全域(川口、浦和、越谷、春日部、川越、所沢、熊谷など)、および近隣県の方からも多数のご相談をいただいております。LINEやお電話での相談も受け付けておりますので、遠方の方もご安心ください。

まとめ

まとめ

鎖骨骨折は「骨がくっついた」後も後遺障害が残りやすい怪我です。要点を整理します。

  • 鎖骨骨折後の後遺障害は「変形障害」「機能障害」「神経症状」の3種類が主
  • 機能障害(可動域制限)は健側との比較で等級が決まる
  • 症状固定時に正確な可動域測定を受けることが重要
  • 弁護士基準での慰謝料は保険会社基準より大幅に高い
  • 弁護士費用特約があれば自己負担ゼロで依頼できる

鎖骨骨折・後遺障害のご相談はグリーンリーフ法律事務所へ

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 申 景秀
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