外国籍(以下、「外国人」と言います)の方が、日本で交通事故にあった場合には、損害賠償等はどうなるでしょうか。

基本的な考え方は、日本人の場合と異なるところはありません。

しかし、日本の入管制度によって、単なる旅行者、永住者、短期滞在者、技能実習生等、在留資格が分かれているので、それぞれの特性に合わせて、結論が変わってくる部分があります。

⑴ 定住者、永住者
定住者や永住者等、日本に定住している方の場合は、基本的には、日本人の事故の場合と同じ処理になります。

⑵ 旅行者、短期滞在者
①治療費
旅行者や短期滞在者は、限られた日数しか日本にいれないので、そのうち帰国するかと思います。本国に帰ったあとに治療を続ける場合は、それが日本で言う「病院」での治療として認められるかどうかという点には気をつける必要があります。

例えば、韓国には、韓医院と呼ばれる東洋医学の考え方による治療(漢方の処方等)をするところがありますが、日本の病院とは、ケガに対する考え方も異なるようです。
このケースで言うと、韓医院で治療したとして日本の保険会社や自賠責に治療費を請求した場合に、争いになる可能性はあります。

②逸失利益
外国人が後遺障害認定を受けた場合、逸失利益が問題となることがあります。
つまり、逸失利益は、基礎収入を算定する必要があるところ、「日本での収入で考えるのか」、「本国での収入で考えるのか」という点で、どこを基準にするかということです。

この点については、将来にわたって日本で収入を得る蓋然性があるかどうか で判断されることになります。

【参考判例の事案】

以下の判例は、中国籍を持つ留学生Xが、国道を原付で走行中に、中型貨物自動車に追突され死亡したという事案です。Xの親が加害者を相手として訴訟を提起しましたが、①死亡一逸失利益や②死亡慰謝料 が争いとなりました。

 

【判断に対するコメント】

①逸失利益については、将来的に日本で就労する蓋然性はないし、中国での将来の収入も不明とし、結局、日本の平均賃金統計の3分の1という認定となった。その理由はあきらかとなっていない。国によって事情が異なるところ、中国の場合経済格差が広がっており、中国の平均賃金を算定するのが困難であることが関連していると思われる。

②慰謝料については、日本人と同程度の2200万円が認められている。国籍によって慰謝料額を変える必要性はないので、妥当な判断である。

③在留資格も緩和され、今後、外国人労働者が増えていくことが予想される。そのような中で、外国人の交通事故も増えると見込まれており、本判例のような論点が今後もでてくると思われる。

 


主   文

 

1 被告らは原告X1に対し,連帯して,121万5038円及びうち53万3621円に対する平成23年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告らは原告X2に対し,連帯して,121万5038円及びうち53万3621円に対する平成23年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用はこれを10分し,その9を原告らの負担とし,その余を被告らの負担とする。
5 この判決は,1項及び2項に限り,仮に執行することができる

 

 事実及び理由

 

第1 請求
1 被告らは原告X1(以下「原告X1」という)に対し,2177万9368円及びうち2109万7951円に対する平成23年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告らは原告X2(以下「原告X2」という)に対し,2177万9368円及びうち2109万7951円に対する平成23年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,平成23年4月22日,岐阜県可児市内において,被告株式会社Y2(以下「被告会社」という)の被用者である被告Y1(以下「被告Y1」という)が業務上運転する,被告会社が保有し使用する中型貨物自動車が,亡A(以下「亡A」という)が運転する原動機付自転車に衝突し,亡Aが死亡した交通事故について,亡Aの父母である原告らが,被告Y1に対し不法行為(民法709条)または自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という)3条,被告会社に対し使用者責任(民法715条)または自賠法3条に基づき,連帯して,亡Aの人的損害(医療関係費,死亡逸失利益,死亡慰謝料,葬儀費用,学費)の各相続分及び原告ら固有の損害(固有の慰謝料,日本滞在費,弁護士費用相当損害金)の未払分の賠償(ただし,平成24年3月29日に支払を受けた自賠責保険金の同日までの遅延損害金を含む),並びに同遅延損害金を除いた金額に対する不法行為日(事故日)から民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求した事案である。
なお,本件は日本国内における事故であり,日本に国際裁判管轄があり,準拠法は日本民法であるが,亡Aの相続については本国法である中華人民共和国(以下「中国」という)民法が適用される。
1 前提事実(争いのない事実と各示証拠または弁論の全趣旨により明らかに認められる事実とを含む)
(1) 平成23年4月22日午前零時55分頃,岐阜県可児市菅刈地内国道41号線28.2キロポスト付近において,被告会社が保有,所有する中型貨物自動車(名古屋○○○い・○○○。以下「被告車」という)を,被告会社の被用者である被告Y1が業務上運転中,亡Aが運転する原動機付自転車(名古屋市・昭う○○○○。以下「原告車」という)に追突し,亡Aは原告車と共に10m以上飛ばされ,路面に転倒した(以下「本件事故」という)。
本件事故現場は,片側2車線の見通しのよい直線道路であり,最高速度が時速60kmに制限されているが,被告車は時速約8.5kmで走行し,第2車線から第1車線に進路変更後,約1km速度計を見ながら直進したところ,同一車線を先行して走行していた原告車に衝突したもので,被告Y1は衝突するまで原告車に気付いていなかった(甲2)。
本件事故について,被告Y1には前方不注視の過失があり,不法行為(民法709条)及び自賠法3条に基づく損害賠償責任を負い,被告会社は,使用者責任(民法715条)及び自賠法3条に基づく損害賠償責任を負う。
(2) 亡A(1987年○月○○日生)は,本件事故後,岐阜社会保険病院に搬送されたが,本件事故により脳挫傷,頭蓋骨複雑骨折の傷害を負っており,本件事故当日の午前1時18分頃,死亡が確認された(甲3,6)。
(3) 亡Aは,中国国内において,日本の高等学校に相当する□□中学校を卒業後,△△学院で2年間日本語を学習し,平成20年4月2日,留学ビザで日本に入国し,在留期間(当初2年)が満了する毎に1年間更新しながら,本件事故当時,◇◇短期大学(以下「短期大学」という)に通学していた。なお,短期大学の,春学期(平成23年4月1日~同年9月30日)の学費は45万1200円であった(甲7)。
亡Aは,平成23年3月に二級ガソリン自動車整備技術及び二級ジーゼル自動車整備技術に関する所定講習をそれぞれ修了し,同年4月,自動車整備技能登録試験(二級ガソリン自動車学科試験,二級ジーゼル自動車学科試験)に合格した。
亡Aは,日本でアルバイト等を行うに当たり資格外活動許可を得ており,本件事故当時,株式会社Bでアルバイトをしていたが(甲21),中国での就労経験はなかった(甲14,20)。
(4) 原告X1は亡Aの父,原告X2は亡Aの母であり,亡Aの被告らに対する本件事故に基づく損害賠償請求権を各2分の1の割合で相続した(甲4,5《いずれも枝番号を含む》)。
原告らは,中国で本件事故の報を受け,平成23年4月27日に来日した。亡Aの葬儀は,当初同年5月3日に予定されていたが,儀式・宗教上の理由から延期となり,同月8日に執り行われた。原告らは同月15日に帰国した。
(5) 原告らは,本件事故に関し,平成24年3月29日に自賠責保険から死亡慰謝料2900万円及び傷害慰謝料4940円(甲11)の支払を受けたほか,被告らから葬儀費用等285万2932円(甲10,乙8)を既に受領している。
2 争点-本件の争点は損害である。
第3 争点に対する判断(以下,当裁判所の計算では1円未満を切り捨てる。)
1 亡Aの損害
(1) 医療関係費 8万0803円(争いなし)
(2) 死亡逸失利益 805万9423円(請求:4339万4969円)
ア 原告らの主張
(ア) 亡Aは,日本に留学して専門的知識・技能を習得し,同分野における日本の専門資格や(甲15,16),高い日本語能力を有しており,相当期間は日本で就業する意思があった。
(イ) 仮にその後中国に帰国したとしても,山東省ではなく上海市で同国における水準以上の待遇で就業できた。
亡Aは,短期大学在学中に上海の企業(C有限公司。以下「有限公司」という)の内定を得ており,帰国後,同社に入社することも可能であった。その場合の月収は2万元で,業績次第で3年後は2万3000元に増額される予定であった(甲13《枝番号を含む》)。有限公司の経営内容は,投資,ビジネス,企業管理,貨物及び技術の輸出入業務等,多岐にわたっており,自動車やその技術の輸出入業務において,亡Aの技能や資格,高い日本語能力が評価される余地は十分にあった。平成15年の上海における日本語に堪能な専門職の平均年収は9万6000元であり,経済発展が続いていることからすれば,平成25年に当該専門職の年収が24万元になっても不思議ではない。まして,亡Aは日本の留学経験もあり,中堅管理職にとどまったとしても,将来年収は60万元程度に至ったといえる。
平成20年の中国の平均賃金を基礎とすることは,その後の目覚ましい経済上昇率に照らしても相当でない。
(ウ) ただし,亡Aの将来の就労状況は確定不能であるから,平成22年賃金センサス産業別・企業規模計・男性・学歴計・全年齢平均収入523万0200円を基礎収入とすべきである(523万0200円×(1-0.5)×16.594)。
イ 被告らの主張
(ア) 亡Aは中国人留学生であり,短期大学卒業後,日本で就労する蓋然性はないし,仮に就労しても程なく中国に帰国した可能性が高い。
(イ) 亡Aの出身地は山東省安丘市であり,原告らも同市に居住していることからすれば,亡Aが上海市で就労した蓋然性は低い。
有限公司はその実在性が疑わしく,実在するとしても,コンサルティングや投資を目的とする会社であり,二級自動車整備士技能しか保有しない亡Aが,業種の異なる同社から高給で内定を得ていたとは考え難い。証明書(甲13)は本件訴訟の為に作成されたものである。内定を得た時期や就労開始時期は判然とせず,同社の企業規模や財務内容も不明である。
亡Aは,中国の上場企業に就職していたわけでもなく,中国の上場企業管理職の平均年収は同人の基礎収入とは無関係である。
二級自動車整備士は特殊技能といえるものではないし,亡Aが,ビジネスに耐える程の語学力を有していたと認めるべき証拠もない。亡Aには就労経験がなく,中国で就労した場合に日本と同程度の賃金を得られた蓋然性はない。
(ウ) 平成20年における中華人民共和国における平均賃金年2万9229元(1元=15.31円として44万7496円。乙5,6)を基礎収入とすべきである。
ウ 判断
(ア) 原告らは,生活費控除率を50%,就労可能年数を平成24年4月から42年間(ライプニッツ係数16.594《17.546-0.952》)と主張しているところ,被告らも特段これを争っていない。当裁判所もこれらを相当と認める。
(イ) 次に,基礎収入について検討する。
Ⅰ まず,亡Aが日本で二級自動車整備士技能を取得したことなどから,同人が短期大学卒業後,日本で一定期間就労した蓋然性を認めることは困難であり,他に当該蓋然性を認めるに足りる証拠もない。
Ⅱ 原告らは,亡Aは,有限公司で月給2万元以上で就労することも可能であったとし,亡Aの日本における留学経験,二級自動車整備士技能,日本語能力等に照らせば,中国で就労したとしても,将来年収60万元を得ていた蓋然性すらあるとし,平成22年賃金センサス産業別・企業規模計・男性・学歴計・全年齢平均収入523万0200円を基礎収入とすべきであると主張する。
しかしながら,有限公司作成の証明書(甲13《枝番号を含む》)は,本件訴訟の為に作成されたものであり,内定話の裏付けとなる具体的事実に乏しく,これを直ちに信用することは困難である。しかも,亡Aがビジネスで通用する高い日本語能力を有していた事実を認めるに足りる証拠もなく,亡Aの学歴や,日本でのアルバイトを除き就労経験がなかったことなどに照らせば,日本における留学経験や二級自動車整備士技能を有していることなどを考慮しても,平成20年における中国の平均賃金が年3万元程度であることに比して(その後の経済発展を見込んでも),将来永続的に亡Aが年収500万円程度を得ていた蓋然性を認めることはできない。
Ⅲ 基礎収入は,日本と中国との経済的事情等に,亡Aの学歴,日本留学歴,二級自動車整備士技能を有していることなどをも考慮し,平成22年賃金センサス高専・短大卒,男,年齢別(20~24歳)平均収入291万4100円の3分の1に相当する97万1366円とするのが相当である。
97万1366円×(1-0.5)×16.594=805万9423円
(3) 死亡慰謝料 2000万円(請求同額)
ア 当事者の主張
(ア) 原告らの主張
亡Aは,日本の在留資格を有しており,少なくとも亡A自身の慰謝料については在留中に発生したものである。また,現在の中国と日本の生活水準に大きな経済的格差があるわけでもない。日本の基準に沿った算定がなされるべきであり,2000万円が相当である。
(イ) 被告らの主張
慰謝料は精神的苦痛に対する金銭補償であるとともに,損害の補完的,調整的機能を有するものであるから,日本とは著しく異なる中国の賃金水準,物価水準や生活水準を考慮し,原告ら固有の慰謝料を含めて1700万円が相当である。
イ 判断
亡Aは,1年の滞在期間を更新している留学生であり,現に日本で就労しているものでもなく,日本での長期滞在が見込まれていたものではないが,亡Aの年齢や本件事故態様等を考慮すれば,中国と日本との経済的事情を考慮したとしても,死亡慰謝料は2000万円を認めるのが相当である。
(4) 葬儀費用 100万4804円(争いなし)
(5) 学費 39万6957円(請求同額)
ア 原告らの主張
短期大学の春学期分の学費は45万1200円,日数は183日であるところ(甲7),亡Aはうち22日しか通学できず,39万6957円が損失となった(45万1200円×《1-22÷183》)。
イ 被告らの主張
亡Aは学費を前納していたもので,積極損害にも消極損害にも当たらない。本件事故との相当因果関係を欠く。
ウ 判断
亡Aは,事故がなければ学費相当分の利益を得ることができたところ,本件事故によりこれを喪失したものであって,本件事故との相当因果関係を認め得る。被告らの主張は採用できない。
2 原告ら固有の損害
(1) 遺族固有の慰謝料 各100万円(請求:各200万円)
原告らは各200万円を請求し,被告らは亡Aの死亡慰謝料を含めて1700万円が相当であると主張するところ,各100万円を認めるのが相当である。
(2) 日本滞在費
ア 短期大学職員人件費 23万3898円(請求同額)
(ア) 原告らの主張
短期大学の管理職を含む多数の職員が,分担して,警察署への訪問・届出,遺体の移動・納棺,パスポート・ビザ申請の手配,宿泊先の準備,当事者の話合の場の準備・設定,法律事務所との連絡,書面の翻訳・作成,損害賠償制度の説明,原告らとの打合わせなど多岐にわたる活動を行った。その中には,夜間や休日等,勤務時間外のものが含まれていた。被告ら側は,短期大学内で原告らと交渉し,また,原告らが日本語を理解しないことを知りつつ,日本語で連絡文書を作成するなど(甲22),短期大学職員のサポートを当然の前提としていた。
その人件費は,職員給与規程(甲23)及び教職員マスタ(甲24)に基づき,稼働時間帯,稼働時間数に沿って算定された時間外・休日勤務手当(甲25)を整理し,合計23万3898円となる(甲8)。
(イ) 被告らの主張
計算の基礎単価や就労時間の裏付けはない。短期大学職員は善意で諸手続を行ったもので,対価を受領することは予定していない。原告らが実際に人件費相当額を支払った事実は認められない。
(ウ) 判断
証拠(甲8,21)によれば,本件事故による対応業務として短期大学職員の時間外勤務手当合計23万3898円が発生した事実が認められ,本件事故との相当因果関係も認められる。被告らは,短期大学職員が厚意で行ったもので原告らに請求されるものではないと主張するが,証拠(甲8)に照らし採用できない。
イ 短期大学学生通訳料 10万1101円(請求:合計13万4330円)
(ア) 原告らの主張
Ⅰ 本件事故後,損害賠償請求の前提となる現地調査のため,短期大学の学生を通訳として190時間拘束した。岐阜県の最低賃金は1時間当たり707円であり,その費用は13万4330円となる(707円×190時間)。
Ⅱ 原告らは,亡Aの葬儀後,平成23年5月9日から同月12日まで,短期大学関係者も交えて被告会社及びその保険会社担当者と,賠償問題について協議したが,同月13日,満足な回答が得られなかったため,弁護士に対応を委任し,同月14日帰国準備をして翌15日に帰国した。原告らは,言語,葬送儀礼や保険制度の異なる日本で,本件事故の事後手続を強いられたもので,滞在期間は必要かつ相当である。
(イ) 被告らの主張
原告らは,保険会社との交渉時の通訳料を別途請求しており,原告らの身の回りの世話のための通訳料と考えられる。葬儀後7日間も日本に滞在する必要性はなく,原告ら自身が負担すべきである。
(ウ) 判断
証拠(甲9の1,21)によれば,短期大学の学生で亡Aの友人であるDが,原告らが日本に滞在中,原告らに同行し,警察署やアルバイト先,葬儀場,領事館,下宿先等で通訳を務めたと認められる。そのうち,平成23年4月27日から同年5月8日までの分(合計143時間)については,損害賠償請求の前提となる現地調査のためという性格を有するものといえ,本件事故との相当因果関係を認める。その他のものは「家族のお世話」(甲9の1)とあり,短期大学職員の記録(甲21)と照らし合わせても,本件事故との関連性が判然とせず,必要性や相当性を認め難い(707円×143時間=10万1101円)。
ウ 宿泊費 29万9640円(請求同額)
(ア) 原告らの主張
原告らの日本滞在期間は必要かつ相当なもので,宿泊費は29万9640円である(甲10)。
(イ) 被告らの主張
平成23年5月6日までの10日分(18万9840円)の限りで認める。原告ら側の都合で亡Aの葬儀が延期されたし,葬儀後7日も日本に滞在する必要はなかった。当初の予定どおり葬儀を実施していれば,遅くとも同月6日までに残務処理は完了していたと考えられる。同月7日以降の宿泊費は自己負担すべきである。
(ウ) 判断
原告らは,平成23年5月8日に葬儀を執り行った後,翌9日から同月12日まで,被告らが加入する保険会社の担当者らと賠償問題について協議し,同月13日満足な回答が得られなかったため,弁護士に対応を委任し,同月14日帰国準備をして翌15日に帰国したと説明している。確かに,葬儀が原告ら側の事情により延期された事実は認められるものの,特に不必要,不相当に長期間滞在したとはいえず,滞在費は全額を認める。
エ 保険会社交渉時通訳料 21万4638円(請求同額)
(ア) 原告らの主張
保険会社との交渉時に通訳料21万4638円を要した(甲10)。
(イ) 被告らの主張
原告らが自己負担すべき費用である。仮に被告らが負担すべきであるとしても,一定割合にとどまる。
(ウ) 判断
証拠(甲10)により認める。被告らは,全部または一部が原告らの自己負担すべき費用に当たると主張するが,採用できない。
オ 移動費 3万3850円(争いなし)
カ 渡航費 30万円(争いなし)
第4 結論
亡Aの損害は合計2954万1987円,原告ら固有の損害は合計318万3127円で,これらを合算すると3272万5114円となる。原告らに既に3185万7872円が支払われており,うち自賠責保険金2900万4940円を平成24年3月29日に受領しているところ,同額に対する確定遅延損害金は136万2834円である。原告らの計算方法に従い(弁護士費用相当損害金の算定を除く),3272万5114円に確定遅延損害金136万2834円を加算して,既払金3185万7872円を控除すると,223万0076円(各原告111万5038円)となる(確定遅延損害金を除くと86万7242円,各原告43万3621円)。更に本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用相当損害金として各10万円(請求:合計395万9885円)を認めるのが相当であるから,被告らは各原告に対し,121万5038円とうち53万3621円に対する遅延損害金を支払うべきである。よって,主文のとおり判決する。

名古屋地方裁判所民事第3部