紛争の内容
自転車を運転していたところ、自動車に衝突されて腰椎捻挫のケガを負い、事故後、腰から右膝にかけてしびれが残った。腰部MRIの検査結果により、L5/S1で椎間板ヘルニアが認められ、あおむけで足を上げたときに足がどこまで上がるかを測るSLRテストは右足において60度で、それ以上は足が上がらなかった。このような症状が後遺障害として認定されるかが問題となった。
また、道路の右側を自転車で移動し、車から見て左側から進入し、一時停止の標識により一時停止の規制を受ける自動車と衝突した。このような事故態様であると、裁判基準によれば、自転車と自動車の過失割合は15体85になるところであった。しかし、自転車の速度は、一時停止をした後、発進した直後に自動車に衝突したことを鑑みると、時速10キロ以下であった可能性があったことから、自転車を歩行者と同様に扱うことができ、その場合、自転車の過失割合が0になる可能性があった。そのため、自転車を運転していた依頼者の過失割合がどの程度のものになるのかが問題となった。

交渉・調停・訴訟などの経過
事故の影響で腰部から膝にかけてしびれが発生したことを理由に、14級9号の後遺障害が認定された。本件では、MRI画像でL5/S1で椎間板ヘルニアが確認されており、神経の異常を判断するSLRテストでも足の痛みのために可動域が制限されることが確認できた。そのため、足に向かって伸びる神経の根元である神経根がヘルニアにより圧迫されているために、腰から膝にかけてしびれの症状が出るという説明ができ、さらに事故後に初めてこのような症状が出たことからすれば、事故の影響で後遺症が発症したと十分に説明できるケースであった。ゆえに、本件で後遺障害が認定されたのは妥当であったと思われる。
また、過失割合については、保険会社からは15対85ではなく、10対90ではどうかという和解案が提示されたところ、依頼者が早期解決を望んだため、この内容で和解が成立した。

本事例の結末
保険会社からは損害額は約290万円であるとの提示がなされていたが、交渉の結果、約410万円の保険金が支払われた。

本事例に学ぶこと
腰部MRIの画像、神経学検査であるSLRテストの結果、自覚症状の内容が、いずれも矛盾なく説明できる事例では、14級9号の後遺障害が認定されることを学んだ。
過失割合についても、自転車の速度によっては、歩行者と同様に扱うことができることを学び、それに基づいて交渉を進めることができた。