紛争の内容
相談者は、高齢者(無職)でした。
自転車に乗って道路を渡っていると、左折する自動車に巻込まれ、腰の骨を折る骨盤骨折の傷病を受け、救急搬送されました。
その後、高齢者施設入所のため思うように通院はできませんでしたが、手術はしておらず、腰の骨は癒合、しかし、短縮障害が認められる状態でした。

交渉・調停・訴訟などの経過
まずは、自賠責に後遺障害を申請、その際にレントゲンの打ち出しなども付しておき、12級5号(骨盤骨に著しい変形を残したもの)と認定され、自賠責保険から、224万円が先行して支払われました。
その上で、相手保険会社との間で示談交渉を開始します。
入院雑費、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、そして、介護料を請求しました。
この介護料を中心に、激しく争いになりました。
そこで、埒が明かないので、公平な第三者に斡旋を依頼することとし、紛争処理センターを利用しました。これは保険会社に対して片面的な拘束力のある機関であり、裁判よりも短時間で解決を導くことのできる可能性がある有用な手続です。
紛争処理センターでは、主張書面等を提出しながら、具体的に、介護料が本件事故を原因として生じたことを粘り強く説明しました。

本事例の結末
結論としては、慰謝料等については裁判基準で認められました。
介護料についても、請求の一部を認めてもらい、総損害額としては、約670万円が認められました。
なお、介護料については、81歳という年齢や、元々の持病等もあり、今回の事故による要介護状態への影響(寄与率)は30%とし、5年の限度で認められることになりました。

本事例に学ぶこと
高齢者の方は、損害の計算、特に将来介護費や逸失利益で争いになることも少なくありません。
しかし、保険会社の言いなりになると、それは弁護士が介入するよりもほぼ確実に低い金額となってしまいます。慰謝料一つとってもそうです。
そのため、高齢者の方が事故に遭われた場合、その方は動くのがなかなか大変なケースもあろうかと思いますので、ご家族の方からのご相談もお受けしております(委任をいただくのはご本人となります。)。

高齢者の方の交通事故被害でお悩みの方は、交通事故専門チームまでお気軽にお問合せください。

弁護士 時田剛志