紛争の内容
依頼者(30代男性・会社員)は、通勤途中に自家用車を運転中、信号待ちで停車していたところを後方から追突されました。
この事故で頸椎捻挫(むちうち)と診断され、事故の翌日から約4か月間、整形外科へ定期的に通院し、治療に専念しました。
幸いにも後遺障害は残りませんでしたが、治療が終わるタイミングで加害者側の保険会社から示談案が提示されました。
しかしその内容は、入通院慰謝料が自賠責保険の基準で計算された非常に低額なものでした。
依頼者は、通院による時間的拘束や事故の精神的苦痛に全く見合わないと感じ、当職へ相談に来られました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当職は、依頼者の通院期間と実通院日数を確認し、保険会社が提示した慰謝料が、最も低額な自賠責保険の基準で計算されていることを指摘しました。
これに対し、当職は過去の裁判例に基づいた最も高額となる裁判(弁護士)基準を用いて慰謝料を算出し直しました。
そして、この金額が法的に正当な賠償額である旨を、保険会社に対して論理的に主張・交渉しました。
本事例の結末
粘り強い交渉の結果、最終的に慰謝料は当方が主張する裁判(弁護士)基準の満額に近い額で合意に至りました。
これは、保険会社からの当初の提示額の2倍以上となる金額でした。
本事例に学ぶこと
後遺障害が残らないむちうちの事案であっても、慰謝料の算定基準が違うだけで、最終的に受け取れる賠償額は大きく変わります。
保険会社から示談案が提示された際は、その金額がどの基準で計算されているかを確認し、安易にサインする前に一度弁護士に相談することが、正当な賠償を得るための鍵となります。