紛争の内容
依頼者(30代男性・会社員)が、営業車で外回り中に赤信号で停車していたところ、後方からスマートフォンを操作していた車両に追突されました。事故の衝撃は大きく、依頼者は頸椎捻挫(むちうち)と診断されました。
半年以上、整形外科でのリハビリ治療を続けましたが、首の痛みと右手のしびれは改善せず、デスクワークや運転業務に集中できない状態が続きました。
しかし、加害者側の保険会社は「むちうちで後遺障害が残ることは考えにくい」として、後遺障害の申請に非協力的な態度を示し、示談を急かそうとしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当職は、治療終了後に依頼をうけ、依頼者の症状の一貫性を医師のカルテ等で確認した上で、後遺障害診断書の作成を医師に依頼。自賠責保険に対して被害者請求という手続きで後遺障害の等級認定申請を行いました。
その結果、「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害等級14級9号の認定を受けることができました。
この認定結果を基に、後遺障害慰謝料と、後遺障害がなければ将来得られたであろう収入(逸失利益)を、裁判(弁護士)基準で算定。保険会社との本格的な交渉を開始しました。
本事例の結末
交渉の結果、当初の保険会社提示額(治療費等を除き約40万円)から大幅に増額し、入通院慰謝料75万円、後遺障害慰謝料として110万円、逸失利益として約120万円などを含め、総額で300万円を超える賠償金を獲得しました。
本事例に学ぶこと
治療を続けても症状が改善しない場合、安易に示談に応じるべきではありません。
後遺障害等級の認定を受けられるかどうかで、賠償額は大きく変わります。
保険会社の言われるがまま示談を進めるのではなく、症状が残っている場合は、後遺障害の申請に詳しい弁護士に相談することが極めて重要です。