紛争の内容
ご依頼者様は、交通事故により受傷され、一定期間の就労不能状態に陥りました。
ご依頼者様の職業は、主にUber Eatsの配達員であり、いわゆる個人事業主(フリーランス)として働かれていました。
加害者側の保険会社に対し休業損害を請求したところ、配達員特有の「収入証明の困難さ」や「労働時間の変動性」を理由に、保険会社は極めて低い金額しか認めようとしませんでした。
ご依頼者様は、事故がなければ十分な収入を得ていたはずであるとして、適正な休業損害の支払いを求めて当事務所にご相談されました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当職は、まずご依頼者様に対し、事故前後の収入状況を立証するための証拠を可能な限り集めていただきました。
具体的には、Uber Eatsの配達履歴データ、銀行口座への入金履歴、確定申告書(提出している場合)、さらには事故前後の稼働状況を記したメモなども収集しました。
保険会社との交渉では、単に事故前の平均収入を主張するだけでなく、以下の点を強調しました。
収入の安定性: 事故前の複数期間(数ヶ月単位)の収入データを分析し、一時的な変動ではなく、継続的に一定水準以上の収入を得ていたことをデータで示しました。
休業の必要性: 医師の診断書や治療経過を基に、配達業務という身体を使う仕事の性質上、休業が必要不可欠であったことを論理的に説明しました。
訴訟提起も辞さない姿勢で粘り強く交渉を続けた結果、保険会社も当職の提出した証拠と論理構成を認め、最終的に裁判に至ることなく、ご依頼者様の希望に近い水準の休業損害額で示談が成立しました。
本事例の結末
ご依頼者様は、当初保険会社が提示していた金額を大幅に上回る休業損害を受け取ることができ、経済的な不安を解消することができました。
複雑な立証を要する個人事業主の休業損害について、交渉によって適正な補償を得るという望ましい結果で解決しました。
本事例に学ぶこと
フリーランスやギグワーカーといった、雇用形態が多様化する現代において、休業損害の立証は複雑化しています。
本事例のように、正式な給与明細がない場合でも、銀行の入金履歴やプラットフォームの稼働データなど、複数の客観的な証拠を組み合わせて「事故がなければ得られたはずの利益」を具体的に立証し、保険会社と粘り強く交渉することが適正な賠償額の獲得につながります。















