紛争の内容
ご依頼者様(以下「当方」)は、高速道路の流入路から本線車道へ合流しようとした際、本線車道を走行していた相手方車両と接触する物損事故を起こしました。
幸い、双方に怪我はありませんでした。

当初、保険会社同士の協議では、合流時の事故として過失割合が5:5と提示されましたが、当方は相手方車両の速度や安全確認の不十分さにも問題があったと感じており、この割合に納得できませんでした。

交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼を受け、当方弁護士は直ちに事故状況の詳細な調査(ドライブレコーダーの映像分析、現場の構造確認など)を開始しました。

交渉では、以下の点を主張しました。

相手方車両の速度超過の可能性:本線車道側にも「合流車あり」の注意義務があり、速度を控え、合流を容易にする義務があること。
相手方車両の進路変更の可能性:接触直前に相手方車両がわずかに進路を合流帯側に寄せてきた形跡があること。

これらの主張に基づき、判例や裁判例を引用しながら、本件事故態様における過失割合の修正を強く求めました。

本事例の結末
粘り強い交渉の結果、相手方保険会社が当方の主張の一部を認め、最終的に過失割合は当方3:相手方7に修正されました。
これにより、当方車両の修理費用の自己負担額を大幅に軽減することができました。

本事例に学ぶこと
交通事故の過失割合は、事故直後の警察や保険会社の初期判断が全てではありません。
特に合流時の事故のように、一見すると合流する側に不利になりがちなケースでも、現場の状況、両車の走行速度、相手方の注意義務違反といった詳細な事実を緻密に分析し、法的な根拠をもって主張することで、初期提示の割合を覆すことが可能です。
物損のみの事故であっても、納得のいかない過失割合については、専門家である弁護士に相談することが、適正な解決へと繋がります。

弁護士 申 景秀