紛争の内容
依頼者(Xさん)が信号待ちのために停車していたところ、後続車(Yさん)に追突され、車両後部に大きな損傷を負いました。
当初、相手方保険会社は、依頼者の停車位置や不必要な急ブレーキの可能性を指摘し、10:0の過失割合を認めず、依頼者にも一部過失があるとの主張を展開しました。

交渉・調停・訴訟等の経過
当職は、警察が作成した実況見分調書を取り寄せ、事故現場の状況および依頼者車両の損傷状況を詳細に確認しました。
その結果、依頼者が完全に停車していたこと、および相手方Y車両に明らかな制動痕が認められないことから、相手方の前方不注意が原因であることを主張する書面を作成し、交渉に臨みました。
また、相手方保険会社のあいまいな主張には根拠がないことを厳しく指摘しました。

本事例の結末
当職の法的主張と提出した証拠に基づき、相手方保険会社は依頼者側の過失を主張し続けることが困難であると判断しました。
その結果、最終的な過失割合は、当初の主張を撤回し、依頼者にとって完全に有利な0(Xさん):10(Yさん)で合意が成立しました。
これにより、依頼者は車両の修理費用、代車費用、その他付随する全ての損害について満額の賠償金を受け取り、早期に本件を解決することができました。

本事例に学ぶこと
追突事故は原則として後続車の前方不注意による10:0の事案ですが、保険会社はわずかな可能性でも依頼者側の過失を主張してくることがあります。
このような場合、弁護士が介入し、客観的な証拠と交通法規の原則に基づいて交渉を行うことで、相手方の不当な主張を排斥し、依頼者の正当な権利である損害の全額賠償を確実に実現することが可能になります。
安易に示談に応じることなく、専門家にご相談いただくことの重要性を示す事例です。

弁護士 申 景秀