紛争の内容
依頼者(Xさん)は、狭い交差点における出会いがしらの自動車衝突事故に遭われました。
Xさんと相手方(Yさん)の車輌の物損が発生しました。当初、保険会社から提示された過失割合は、互いに同程度の注意義務違反があったとして5(Xさん):5(Yさん)でした。
しかし、依頼者Xさんはご自身の主張が十分に反映されていないと感じ、この過失割合に納得されず、当事務所へご相談されました。

交渉・調停・訴訟等の経過
当職は、依頼者Xさんから事故発生時の状況を詳細に聴取するとともに、現場の調査、実況見分調書の分析、およびドライブレコーダーの記録を徹底的に検証しました。

その結果、本件の交差点は信号機のない同幅員の交差点であるものの、依頼者Xさん側には明らかに事故回避措置を講じた形跡があったこと、また、相手方Yさん側には、より著しい前方不注意や一時停止義務違反に準ずるような徐行義務違反があったことを示唆する証拠を発見しました。

この分析結果に基づき、当職は相手方保険会社に対し、本件事故が単なる5:5の事故ではなく、判例タイムズに示される類型や修正要素を適用すべきであることを主張し交渉を行いました。
当初、保険会社は難色を示しましたが、当職が提出した証拠と法的見解が過失割合の修正に十分値することを理解させ、交渉を粘り強く継続しました。

本事例の結末
度重なる交渉の結果、相手方保険会社は当職の主張を受け入れ、最終的な過失割合は、当初提示された5:5から、依頼者Xさんにとって有利となる4(Xさん):6(Yさん)へと変更されました。
これにより、依頼者Xさんの物損の賠償額は当初の提案よりも増加し、結果としてXさんの経済的な負担を軽減することができました。
依頼者Xさんは、自身の主張が正当に認められたことにご満足されました。

本事例に学ぶこと
交通事故における過失割合は、単純な事故状況だけでなく、現場の状況、法令上の義務、具体的な運転行動といった様々な修正要素によって変動する可能性があります。
特に、信号機のない交差点での出会いがしらの事故では、一律に5:5とされがちですが、弁護士が介入し、実況見分調書やドライブレコーダーなどの証拠を詳細に分析することで、依頼者にとって有利な修正要素を発見できることがあります。
保険会社の提示する過失割合に疑問を持たれた際は、安易に合意せず、専門家である弁護士に相談し、正当な過失割合を追求することが重要です。

弁護士 申 景秀