紛争の内容
ご依頼者の方は、青信号の横断歩道を渡っていた際、車両に衝突されるという交通事故に遭われました。幸いにも過失割合については100:0(相手方の全面過失)として進めることができましたが、損害賠償額の提示段階で大きな争いが生じました。相手方の保険会社は、裁判外での和解であることを理由に、慰謝料額を本来の基準から8割程度に減額するよう求めてきたほか、算定根拠も保険会社独自の低い基準に基づいたものでした。
交渉・調停・訴訟等の経過
交渉において、相手方保険会社は「訴訟に至らない任意の示談であれば、全額の支払いは難しい」との姿勢を崩しませんでした。これに対し、当職は、ご依頼者の方がご高齢でありながら過酷な治療に耐えてこられた負担の大きさや、日常生活への支障を具体的に主張いたしました。訴訟による長期化を避けつつも、正当な権利として満額回収を強く求め、保険会社独自の基準ではなく裁判水準を基礎とした賠償を粘り強く働きかけました。
本事例の結末
連日の粘り強い交渉の結果、相手方保険会社が当初の主張を撤回し、最終的には慰謝料を減額させることなく100%の満額で回収することができました。訴訟を提起することなく、迅速なスピードで裁判基準に準じた適正な賠償額を確保できたことは、ご依頼者の方の精神的・肉体的な負担を軽減する意味でも非常に意義のある結末となりました。
本事例に学ぶこと
本事例を通じて、保険会社が提示する「示談だから」という理由での減額案を安易に受け入れず、弁護士が法的根拠を持って粘り強く交渉することの重要性を再認識いたしました。特にお怪我を負われたご高齢のご依頼者の方にとって、長期化しやすい訴訟を回避しながら、裁判基準と同等の満額回収を早期に実現できたことは、今後の生活再建に向けた大きな一歩となります。単なる数字の交渉にとどまらず、事故によって生じた個別の苦しみや治療の負担を丁寧に主張に組み込むことが、早期かつ納得感のある解決につながるということを改めて学ぶ機会となりました。















