紛争の内容
ご依頼者の方は、配偶者の方が運転する車両の助手席に同乗し、信号待ちで停車していたところ、後方から進行してきた乗用車に追突されました。この事故により、ご依頼者の方は首などに「むち打ち(頸椎捻挫)」の怪我を負われました。
事故直後より、相手方保険会社による治療費の代行支払い(一括対応)を受けて通院を継続されていましたが、事故から数か月が経過したタイミングで、保険会社より「治療を終了してほしい」との打旨(通院打ち切り)の連絡が入りました。痛みなどの症状が残っている中で治療を打ち切られることに強い不安を感じられ、当事務所へご相談・ご依頼をいただく運びとなりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
受任後直ちに、弁護士が相手方保険会社との交渉窓口となり、ご依頼者の方の現在の症状や通院の必要性を法的な観点から強く主張いたしました。一般的に、むち打ち事案における一括対応の延長交渉は難航するケースが多いですが、粘り強い交渉の結果、当初提示されていた3か月という期間を倍の6か月まで延長させることに成功いたしました。
また、ご依頼者の方は主婦として家事に従事されていましたが、事故の影響で日常生活や家事労働に大きな支障が出ていました。そのため、通院期間の確保と並行して「主婦休業損害」の請求も適切に行いました。
本事例の結末
十分な治療期間(6か月)を確保できたことにより、ご依頼者の方は納得のいくまで通院を継続することができました。その結果、治療期間の延長に伴って「通院慰謝料(入通院慰謝料)」が増額しただけでなく、当初は認められるか不透明であった「主婦休業損害」についても、ご依頼者の方にご納得いただける金額を取得することができました。
本事例に学ぶこと
本事例を通じて痛感するのは、保険会社から治療終了を打診された際、ご自身だけで対応せずに早い段階で弁護士へ相談することの重要性です。
保険会社は一定の期間で一律に治療の打ち切りを打診してくる傾向がありますが、弁護士が介入して医学的・法的な根拠に基づき交渉することで、妥当な治療期間の延長を勝ち取れる可能性が高まります。
また、主婦の方の家事労働は、目に見える給与所得がないため軽視されがちですが、法律上は重要な労働として評価され、休業損害を請求することが可能です。適切な治療期間の確保と、正当な権利である休業損害の主張を組み合わせることで、最終的な賠償金額だけでなく、お怪我の回復に向けた安心感にも繋がるということを本事例は示しています。















