紛争の内容
ご依頼者の方が自動車を運転中、後続車から追突される事故に遭われました。

この事故により、ご依頼者の方は首や肩に痛みが生じる「むち打ち(頸椎捻挫)」の症状を抱えることとなりました。

事故直後の段階から当職にご相談をいただき、適切な通院頻度や治療の受け方についてアドバイスを行いながら、治療を継続していただくこととなりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
治療開始からしばらく経過した際、相手方の保険会社から治療費打ち切りの打診がありましたが、当職が介入して交渉を行うことで、最終的に6か月間の通院期間を確保することができました。

しかし、半年間の真摯な治療を経てもなお、ご依頼者の方にはお痛みが残っており、主治医から「症状固定(これ以上治療を続けても改善が見込めない状態)」を告げられました。

むち打ち症は、骨折などとは異なり画像診断(レントゲンやMRI)で異常が判明しにくいため、後遺障害の認定を得ることは一般的に非常に困難です。

そこで、単に診断書を提出するだけでなく、事故当時の衝撃の強さを立証するために車両の損傷写真をもとに多角的な分析を行いました。さらに、ご依頼者の方の具体的な自覚症状と医学的な整合性を精査し、書面にて詳細な意見を主張いたしました。

本事例の結末
適切な立証活動の結果、自賠責保険より「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害14級9号の認定を受けることができました。

この認定が得られたことにより、後遺障害慰謝料および逸失利益が適正に算定され、最終的な賠償額は当初の提示額から大幅な増額を得られることになりました。

本事例に学ぶこと
本事例を通じて、交通事故の被害に遭われた直後の早い段階から弁護士がサポートに入り、治療期間の確保から後遺障害の申請まで一貫して対応することの重要性が再確認されました。

むち打ち症のように外見からは症状が分かりにくい事案であっても、事故時の衝撃の大きさや車両の損壊状況を丁寧に分析し、医学的な根拠に基づいた適切な主張を組み立てることで、正当な等級認定を得られる可能性が高まります。

痛みという目に見えない主観的な症状だからといって後遺障害の認定を最初からあきらめるのではなく、事案によって粘り強く事実関係を積み上げていく姿勢が、最終的な解決内容やご依頼者の方の納得感に大きな差を生むことになります。

弁護士 遠藤 吏恭