紛争の内容
【車対車】の交通事故でした。
片道二車線の直線道路上、左側車線を走行していたところ、前方の車が、道路上の店舗入り口に左折するためウインカーを出して減速しました。そのため、引き続き、相談者もブレーキを踏んでゆっくり減速したところ、後続していた運転主が減速に気付かず、追突したという事故でした。
相談者は、頚部・腰部の捻挫という症状を呈しました。
相手保険会社は、治療費を立替え払いしておりましたが、症状固定の段になり、低額の慰謝料を提示してきたと窺います。

交渉・調停・訴訟などの経過
まずは、相談者の意向から、後遺障害申請をすることになりました。本件は、捻挫の症状であり、画像所見上も異常は見られませんでした。後遺障害申請の結果、結論としては、後遺障害としては「非該当」となりました。
しかし、後遺障害はなくとも、通院を余儀なくされたことに対する慰謝料は正当な金額の支払を受けたいという相談者の意向をくみ、最大限、慰謝料金額を裁判基準の金額に近づけることとして、相手保険会社との交渉を進めました。当初は、自社の基準がある、もしくは裁判基準の80%しか出せないと述べていた保険会社でしたが、粘り強い交渉を行いました。

本事例の結末
結論としては、慰謝料の裁判基準で認められる金額(約90万円)に対し、88万円もの金額を支払う内容で示談に応じることとなり、裁判基準のおよそ97%に相当する金額を、交渉段階で認めさせることができました。相談者も早期解決を望んでいたため、かかる金額で満足されておりました。

本事例に学ぶこと
二点あります。
一つは、後遺障害申請です。これは、病院が後遺障害診断書を拒んだり、全く痛みがなく違和感もない場合でなければ、申請するのは自由です。デメリットは、仮に非該当になった場合、後遺障害診断書作成料(大体1万円前後の病院が多い)が自己負担になること、審査に2~3ヵ月の時間が掛かることです。そのほか、いくつか書類を準備する手間がかかります。一方、メリットは、後遺障害の有無につき、審査をしてもらえることや、仮に後遺障害が付くと、一番軽い等級である14級であっても、後遺障害慰謝料として110万円という裁判基準が定められ、通院慰謝料に上乗せして請求できる可能性があることです。
もう一つは、通院慰謝料の交渉です。保険会社、担当者、事案の内容により異なりますが、裁判基準を100%認めさせるのは必ずしも確実ではありません。保険会社は、それ以上の金額は出せない、それなら訴訟を起こしてほしい等と述べてくることさえあります。保険会社とケンカをしても仕方ありませんし、お互いに訴訟になればリスク、時間を要しますから、できれば避けたいという共通認識があります。弊所は、訴訟もしくは紛争処理センターがよいか、交渉で限界まで近づけるのがよいか、よく見極めて、適切なアドバイスをし、最終的には依頼者に選択してもらうようにしております。
交通事故に関する相談は、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の交通事故専門チームまで、まずはお電話でも構いませんので、ご相談ください。

弁護士 時田剛志