紛争の内容
依頼者は、交差点を進行中、左方向から来た自動車に左後方を衝突されました。
治療期間は約2か月程度でしたが、賠償交渉がまとまらないため、当事務所にご依頼されることになりました。

交渉・調停・訴訟などの経過
当初加害者側は、こちらにも過失があるという主張をしたうえで、さらに、慰謝料についてはこちらの計算(赤本)の80%を主張してきました。
しかし、交差点での事故とは言え、後部への衝突は回避可能性がないと主張し、過失の主張は受け入れられないことを説明しました。そして、交渉であることから、当方主張の90%であれば和解すると提案しました。
もちろん、本来であれば当事務所は、当方主張の100%でなければ和解しないのですが、仮に裁判になった場合にはこちらの無過失は認められる可能性が低く、10%の過失割合はやむを得ないと考えられることから、
・過失は認めないで合意する
・しかし、実質は、過失割合を考慮した場合の満額を回収する
ことにしました。
 これは、後日の物損の交渉で無過失の主張をしやすくすることを意図したものです。

本事例の結末
結局相手方は、こちらの提案を受け入れました。
過失を考慮した場合の満額を回収し、しかも、合意の成立にあたっては過失を認めなかったことから、こちらとしては100%の結果を得られました。

本事例に学ぶこと
無過失の主張が認められる場合もありますが、経験上認められることが難しい場合には、過失を前提とした解決を依頼者と検討しなければいけません。
そして、本件では過失を前提とした満額の結論を得つつ、形式的には無過失を相手方に認めさせることができましたので、こちら側としては、実質的にも形式的にも、100%の結果を得られました。
交通事故の交渉は、難しく奥深いものであることを改めて感じた事案です。

弁護士 野田泰彦