紛争の内容
本件は、交通事故の被害に遭われたお客様からご依頼いただいた事案です。

お客様は約3か月の通院治療を終えられ、相手方保険会社から最終的な賠償金額の提示を受けられた段階でした。しかし、その提示された金額、特に慰謝料について納得がいかず、当事務所へご相談されました。

相手方保険会社の提示額は、裁判所基準ではなく、保険会社独自の基準に基づき算定されたものでした。

交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼後、当事務所は直ちに事件に着手し、裁判所で適正とみなされる弁護士基準(裁判所基準)に基づいて、慰謝料を含めたすべての賠償額を改めて算定いたしました。

本件は事実関係が比較的単純であったため、早期解決を最優先の目標とし、算定した満額の賠償金を相手方保険会社に請求いたしました。

交渉の過程で、相手方保険会社からの回答がなかなか得られない状況が続きました。これに対し、訴訟提起も辞さないという強い姿勢を明確に示し、満額での支払いを継続的に求めました。

本事例の結末
弁護士が交渉に介入した結果、相手方保険会社は最終的に慰謝料についてほぼ満額を認める判断を下しました。これにより、お客様はご依頼からわずか1か月もかからずに、事件を早期に解決することができました。結果として、弁護士が介入したことによる賠償金の増額分として、お客様は40万円ほどの経済的な利益を得ることができました。

本事例に学ぶこと
交通事故の被害に遭われた場合、相手方保険会社が初期に提示してくる賠償額は、本来裁判所で認められるべき適正な金額(弁護士基準)よりも、意図的に低く抑えられた保険会社独自の基準に基づいていることがほとんどです。

この事案の大きなポイントは、お客様が弁護士費用特約に加入されていたことです。特約を活用されたため、お客様はご自身の金銭的な持ち出しを心配することなく、安心して弁護士に依頼し、適正な裁判所基準に基づく賠償金を獲得することができました。

結果、40万円もの増額分が純粋な利益となり、弁護士に依頼することの明確なメリットを証明する事例となりました。

この経験から、交通事故の被害者の方が適正な賠償を受けるためには、弁護士の介入が不可欠であると言えます。

特に弁護士費用特約に加入されている方は、経済的なリスクなしに金銭的な利益を得る可能性が非常に高まるため、保険会社からの提示に安易に合意するのではなく、まずは早期に弁護士へご相談いただくことが極めて重要であると学びました。

弁護士 遠藤 吏恭