交通事故の死亡慰謝料【後編】独身・子供・高齢者・内縁・胎児の裁判例と賠償請求の実務

本記事は、さいたま市大宮区にある、埼玉県内でトップクラスの弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の交通事故集中チームの弁護士が執筆しています。

【シリーズ】交通事故の死亡慰謝料
前編:基準額の解説・一家の支柱・配偶者・母親の裁判例
後編(本記事):独身・子供・高齢者・内縁・胎児の裁判例と賠償請求の実務

前編では、死亡慰謝料の法的性質・3つの算定基準・弁護士基準の目安金額と、「一家の支柱」「母親・配偶者」区分の裁判例を解説しました。

後編となる本記事では、「その他」区分(独身男女・子供・幼児・高齢者)、内縁関係にあった者、そして参考として胎児の死亡等に関する裁判例を取り上げます。さらに、慰謝料以外の賠償項目・計算例・弁護士費用特約まで、賠償請求の実務に直結する情報を解説します。

なお、本記事が引用する判例は「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称・赤い本)」に掲載されたものです。

「その他」① 独身の男女の裁判例

「その他」① 独身の男女の裁判例

「その他」区分の基準額は2,000万円〜2,500万円です。独身者の場合、父母・兄弟姉妹等が遺族となります。被害者の年齢・職業・家族への貢献・加害者の態度などが金額に反映されます。

裁判例① 単身者(男・17歳・高校生)

本人分2,200万円、父母各400万円、妹100万円、合計3,100万円を認め、被告がインターネットに原告らを誹謗する記事を書き込んだ点については、別訴が提起されていることに鑑み、本件交通事故訴訟の慰謝料の算定に当たっては考慮しないとした。
(事故日平12.4.21 大阪地判平17.6.27 交民38・3・855)

裁判例② 単身者(男・31歳・スキューバダイビングインストラクター)

本人分1,800万円、母400万円(922万円余の扶養利益喪失の損害の他に)、弟・妹・娘(離婚した妻が引き取り、毎月4万円の養育費を支払っている)各200万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平14.11.22 大阪地判平19.1.30 交民40・1・116)

裁判例③ 単身者(男・31歳・会社員)、一人息子で父親の会社を継ぐ立場

本人分2,200万円、父母各300万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平17.12.23 金沢地判平19.8.31 自保ジ1771・21)

裁判例④ 単身者(男・19歳・大学生)、加害者に救護義務違反あり

第三者の通報により遅滞なく警察官が到着したとして、本人分2,300万円、父母各250万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平17.9.9 東京地判平19.9.6 自保ジ1718・2)

裁判例⑤ 単身者(男・18歳・高校生)

母は夫と離婚した後、被害者およびその妹の親権者として同人らを養育してきたこと、事故後も長期間にわたってその真相ないし実態の解明に努力してきたことから、本人分2,200万円、母600万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平12.5.15 大阪高判平21.7.31 判時2070・57)

裁判例⑥ 単身者の姉妹(女・21歳・会社員、女・19歳・アルバイト)、危険運転

両親が2人しかいない我が子を一度に失ったこと、はみ出し通行禁止場所において高速度の追越しをしようとした加害者の危険な運転態様等を総合し、本人各2,200万円、父母各600万円、被害者1人あたり合計2,800万円を認めた。
(事故日平19.10.6 秋田地判平22.9.9 自保ジ1840・75)

裁判例⑦ 単身者(男・31歳・会社員)、希望していた鉄道会社に就職

希望していた鉄道会社に就職後、車掌として真面目に勤務していたこと、父親思いの優しい息子であり、結婚を誓っていた交際相手もいたことなどから、本人分2,800万円を認めた。
(事故日平20.1.20 東京地判平22.10.28 判タ1345・213)

裁判例⑧ 単身者(女・17歳・高校生)

本人分2,500万円、父母及び妹各100万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平21.3.7 京都地判平23.3.11 交民44・2・357)

裁判例⑨ 単身者(女・15歳・中学生)

本人分2,200万円、父母各250万円、祖父母・姉妹3人各120万円、合計3,300万円を認めた。
(事故日平20.1.30 宇都宮地判平23.3.30 判時2115・83)

裁判例⑩ 高卒後アルバイト、約1年後同族会社に勤務予定の単身者(男・19歳)

加害者が刑事事件手続及び民事事件原審まで過失がない旨不合理な弁解を続けていたことを勘案し、本人分2,200万円、父母各300万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平18.6.16 名古屋高判平23.9.22 自保ジ1872・20)

裁判例⑪ 単身者(男・19歳・大学生)、過積載

加害者車両には最大積載量の3.4倍を超える積荷が載せられていた上、最大積載量を偽るステッカーを貼るなど過積載の意思も悪質であったこと等から、それぞれ本人分2,400万円、父母各200万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平22.12.26 東京地判平26.12.11 自保ジ1942・91)

裁判例⑫ 大学生(男・21歳・大学3年生)

慰謝料を増額するまでの事情はないとした上で、本人分2,000万円、父母各400万円、姉200万円、合計3,000万円を認めた。
(事故日平28.6.16 神戸地判令3.3.1 交民54・2・281)

裁判例⑬ 単身者(男・53歳・会社員)、加害者が居眠り運転を否認し不合理な弁解

加害者が居眠り運転を否認し不合理な弁解に終始していること、亡兄の分の相続債務を免費的に引き受けて実質的な扶助をしてきたこと等から姉弟の分の相続債務を合計2,750万円を認めた。
(事故日平29.7.25 大阪地判令4.3.8 交民55・2・347)

裁判例⑭ 単身者(男・18歳・自動車整備専門学校生)、居眠り運転

居眠り運転であること、遺族に対する慰謝の措置の約束をしながらこれを短期間で怠った等の不誠実な対応があったとして、本人分2,500万円、父母各250万円、合計3,100万円を認めた。
(事故日令1.7.31 名古屋高判令5.8.23 自保ジ2173・90)

「その他」② 子供・幼児等の裁判例

「その他」② 子供・幼児等の裁判例

幼い子供の死亡は、親・祖父母等の遺族に計り知れない悲しみをもたらします。幼児・子供の場合でも「その他」区分として2,000万円〜2,500万円が目安となり、事案によって増減されます。

裁判例① 妊娠17週の妊婦が追突事故で超未熟児を出産

子(性別不明・死亡胎生後7か月)につき、超未熟児であったためライ症候群により死亡したこととの相当因果関係を認め、本人分2,000万円、父母各100万円、合計2,200万円を認めた。
(事故日平10.5.17 神戸地判平13.8.10 判時1767・97)

裁判例② 女児(3歳)

まだ死の意味すら十分に理解しかねる幼少の身で突然の死を余儀なくされたこと、突然に幼子を失った父母や近親者らにおいてその死を受容しかねず呻吟する有様が顕著であることから、本人分2,200万円、父母各300万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平17.7.31 大阪地判平20.3.13 交民41・2・310)

裁判例③ 女児(3歳)、宅配業者が訪問し被害者宅から轢いた事案

加害者が宅配業者として被害者宅を訪ねたが、被害者から母親が入浴中と聞いて帰ろうとした際に被害者を配達用車両で轢いたという事故態様から過失相殺を否定し、本人分2,000万円、父母各300万円、事故を目撃した兄(4歳)200万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平18.6.4 東京地判平21.7.8 交民42・4・871)

裁判例④ 小学生(男・6歳)

本人分2,200万円、父母各200万円、同居の祖母50万円、兄弟3人各30万円、非同居の祖父母各30万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平17.11.11 名古屋地判平22.6.4 交民43・3・744)

裁判例⑤ 女児(5歳)

本人分2,400万円、父母各300万円、弟100万円、合計3,100万円を認めた。
(事故日平22.6.27 京都地判平24.10.24 交民45・5・1305)

裁判例⑥ 男児2名(6歳と9歳)、危険な蛇行運転

加害者が音楽のリズムに合わせて車体を左右に振るべく右に急ハンドルを切ったところ、大きく車体が右側に向き進行制御を失って滑走し歩道上の被害者らに衝突した事故で、それぞれ本人分2,400万円、父母各200万円、合計2,700万円を認めた。
(事故日平25.10.22 東京地判平27.5.25 交民48・3・649)

裁判例⑦ 小学生(男・9歳)

両親は突然小学生の被害者を失い、未だショックを癒すことができない生活を送っており、兄2名も当時中学1年と小学5年という時期に、突然弟を失い、また母親が被害者と一緒にいたことを責めるなど多大な苦痛を被っていること等から、本人分2,400万円、父母各200万円、兄2人各150万円、合計3,300万円を認めた。
(事故日平26.10.29 名古屋高判平29.9.28 自保ジ2011・105)

裁判例⑧ 緊急走行中のパトカーに横断歩道で衝突されて27日後に死亡した男児(5歳)

傷害慰謝料70万円のほか、本人分2,400万円、事故後に兄と妹をそれぞれ連れ別居した父母各300万円、双子の妹200万円、兄100万円、合計3,300万円を認めた。
(事故日令1.8.18 東京地判令6.5.23 交民57・3・685)

裁判例⑨ 男子(5歳)、自動車専用道路の前方不注視

自動車専用道路で指定最高速度を約10km超過・前方不注視で走行し、渋滞車列で減速した被害者車両に気付くのが遅れて追突するという加害者の一方的過失による事故。家族4人で同乗していたことを踏まえ、本人分2,500万円、父母各300万円、兄100万円、合計3,200万円を認めた。
(事故日平30.3.7 神戸地判令6.12.13 交民57・6・1598)

「その他」③ 高齢者等の裁判例

「その他」③ 高齢者等の裁判例

高齢者の死亡事故でも、逸失利益は年金収入等を基礎として認められることがあります。慰謝料については「その他」区分の2,000万円〜2,500万円が目安で、家族への貢献・介護の状況等が考慮されます。

裁判例① 女性(91歳)、医療過誤との競合

医療過誤と競合した事案において、2,300万円を認めた。
(事故日平11.3.18 大阪地判平16.5.17 交民37・3・635)

裁判例② 男性(86歳)、農業

家業の農業を手伝っていたことについての損害は逸失利益としての評価が困難であることなどから、2,300万円を認めた。
(事故日平16.12.21 神戸地判平18.12.15 交民39・6・1756)

裁判例③ 女性(75歳・主婦)、要介護の夫を抱える

病気により介護を必要とする夫100万円、子2人孫1人各50万円、被害者が介護していた知的障害を持つ孫については、祖母である被害者の死により介護施設への入所を余儀なくされたことなどから300万円、合計3,050万円を認めた。
(事故日平19.2.28 大阪地判平22.2.9 交民43・1・140)

裁判例④ 息子及びその妻子と同居していた女性(83歳・主婦)

本人分2,400万円を認めた。
(事故日平20.11.23 東京地判平22.10.12 自保ジ1843・155)

裁判例⑤ 女性(75歳・主婦)、加害者が前方注視義務・信号遵守義務を怠った

本人分2,300万円、夫200万円、子100万円の合計2,600万円を認めた。
(事故日平22.1.10 東京地判平26.1.28 判時2261・168)

裁判例⑥ 主として年金生活の男性(76歳)以下、高齢者の認定額

年金生活男性(76歳):本人分2,200万円、妻200万円、子3人各100万円、合計2,700万円 (事故日平25.10.22 東京地判平27.5.25 交民48・3・649)   年金生活男性(82歳):本人分2,300万円、妻120万円、子3人各60万円、合計2,600万円 (事故日平24.11.26 京都地判平27.5.25 交民48・3・656)   茶商男性(94歳):本人分2,250万円、妻100万円、子3人各50万円、合計2,500万円 (事故日平24.10.22 東京地判平27.11.25 交民48・6・1420)   会社経営男性(81歳):族企業2社の代表取締役として精力的に活動しており、いわゆる一家の支柱とは同視し難いものの、その面で果たしていた役割は相当大きかったと推察されるとして本人分2,500万円を認めた。
(事故日平25.10.18 横浜地判平28.3.3 交民49・2・323)

裁判例⑦ 年金生活男性(81歳)

本人分2,200万円、妻300万円、子2人各150万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平26.9.19 神戸地判平28.5.25 交民49・3・640)

裁判例⑧ 女性(80歳・主婦)

本人分2,000万円、子2人各100万円、合計2,600万円を認めた。
(事故日平26.11.14 大阪地判平29.6.27 交民50・3・796)

裁判例⑨ 宗教法人役員(男・79歳)

事故当日入院し翌日死亡したこと、役員給与年60万円及び厚生年金104万円余を受給していた一家の支柱であり、妻が長年夫婦として同居してきたこと等から、入院分も含め、本人分、近親者分を併せて2,800万円を認めた。
(事故日平24.10.23 大阪高判平30.1.26 自保ジ2020・58)

裁判例⑩ 年金収入がある兼業主婦(79歳)

子や孫に恵まれ充実した生活を送り、新居で長男家族と同居を始めたばかりであったこと、監査役を務める会社での仕事ぶりも充実していたこと等を考慮し、本人分2,200万円、夫200万円、子4人各100万円、合計2,800万円を認めた。
(事故日平29.12.12 福岡地判令3.2.4 自保ジ2094・76)

裁判例⑪ 独居生活の女性(91歳)

生活費は年金・家賃収入等で自弁していた女性につき、本人分2,000万円、子2人各100万円、合計2,200万円を認めた。
(事故日令1.12.24 名古屋地判令4.5.18 自保ジ2132・120)

「その他」④ 内縁関係にあった者等の裁判例

「その他」④ 内縁関係にあった者等の裁判例

法律上の婚姻関係がなくても、内縁関係(事実婚)にある者は民法711条に準ずる者として慰謝料請求権を持つことが認められています。ただし、内縁関係の実質・継続性が重視されます。

裁判例① 約9年間事実上夫婦として暮らしていた内縁の配偶者

会社員(男・55歳・韓国籍)につき、約9年間事実上夫婦として暮らしていた内縁の配偶者に1,000万円を認めた。
(事故日平7.6.17 大阪地判平9.3.25 交民30・2・470)

裁判例② 退戦後無職・姉と二人暮らしの年金生活者(男・61歳)

本人分1,900万円、妹300万円、非同居のかつ被害者が引き取り養育してきた実子同然に育てた娘100万円、合計2,300万円を認めた。
(事故日平12.7.16 大阪地判平14.3.15 交民35・2・366)

裁判例③ 法定相続人とは慰謝料1,100万円で示談が成立していた事案・内縁の養子

女性(年齢不明)につき、法定相続人とは1,100万円で示談が成立している事案において、民法711条により遺族側の慰謝料請求権を取得すべき「子」とは実子ないし養子を指すものと解すべきであるが、養子縁組を経ていない事実上の養子についても同条の類推適用が肯定されるとして、内縁の養子2人各450万円、合計900万円を認めた。
(事故日平16.9.13 大阪地判平19.3.29 交民40・2・479)

裁判例④ 料理店女将(女・78歳)、約29年間同居の内縁の配偶者

本人分1,000万円のほか、約29年間同居し料理店を経営していた内縁の配偶者(69歳・妻あり)に、営業損害は認めなかったが、被害者が給与を受けずに尽力していたことなどの事情は慰謝料において評価するのが相当であるとし、妻との婚姻が明らかに破綻していたことなども考慮して1,300万円を認めた。
(事故日平18.1.13 大阪地判平21.12.11 交民42・6・1620)

裁判例⑤ 戸籍が判明しない女性(69歳)、約40年間生計を共にした内縁の夫

本人分800万円、幼いころから独立するまで同居し実子同然に育てられた内縁の夫の子100万円、合計900万円を認めた。
(事故日平30.12.4 福岡地判令2.11.26 自保ジ2086・123)

裁判例⑥ 年金生活女性(81歳)

本人分2,200万円、幼少時から本人と同居し、一人暮らし開始後も週1回程度電話をしたり、本人宅を訪れる等していた甥50万円、合計2,250万円を認めた。
(事故日平29.10.4 大阪地判令3.9.9 交民54・5・1178)

裁判例⑦ 年金生活男性(83歳)

本人分1,800万円、妻150万円、子3人各100万円、被害者らと20年以上同居していた子の妻100万円、合計2,350万円を認めた。
(事故日令2.3.15 東京地判令4.6.15 交民55・4・1122)

(参考)胎児の死亡等

(参考)胎児の死亡等

妊娠中に交通事故に遭い胎児が死亡した場合の慰謝料です。妊娠週数・出産までの経過・母体への影響等によって金額が異なります。

裁判例① 出産予定日4日前の事故による死産

800万円を認めた。
(事故日平1.7.26 高松高判平4.9.17 自保ジ994・2)

裁判例② 妊娠2か月の胎児が死亡

150万円を認めた。
(事故日平2.8.13 大阪地判平8.5.31 交民29・3・830)

裁判例③ 妊娠27週の胎児が死亡

250万円を認めた。
(事故日平7.6.9 横浜地判平10.9.3 自保ジ1274・2)

裁判例④ 妊婦(母)が受傷したことにより妊娠36週の胎児が死亡

母700万円、父300万円を認めた。
(事故日平9.12.1 東京地判平11.6.1 交民32・3・856)

裁判例⑤ 25歳主婦(初産婦)、正面衝突でシートベルトが食い込み胎児(18週)が死亡

事故後再び妊娠を望み排卵誘発剤等のホルモン投与を受けているが2年経過しても妊娠に至っていない状況にある。350万円を認めた。
(事故日平11.7.8 大阪地判平13.9.21 交民34・5・1298)

裁判例⑥ 41歳主婦が受傷し妊娠12週未満の早期流産

200万円を認めた。
(事故日平15.1.12 大阪地判平18.2.23 交民39・1・269)

裁判例⑦ 妊娠29週の主婦(19歳)が受傷し胎児が死亡

400万円を認めた。
(事故日平31.4.10 千葉地松戸支判令3.10.25 自保ジ2112・94)

裁判例⑧ 妊娠18週の妊婦(23歳)が受傷し4日後に胎児が死亡、死産との因果関係が争われた事案

事故の発生原因が主として信号無視という重大な過失にあり被害者が無謀運転を容認していたとは認められないことを考慮すると、加害者が免許取得1年未満で2人乗りを禁止されていることを被害者が認識していたとしても過失あるいは帰責事由とはいえないとして好意同乗減額を否定しつつ、傷害慰謝料・後遺障害慰謝料の一事情として斟酌し、死産により大きな精神的苦痛を被ったことは想像に難くなく事故による影響が全くなかったとも言い難いとして、通院慰謝料128万円に100万円を加え228万円を認めた。
(事故日令2.9.1 大阪地判令6.3.15 交民57・2・401)

死亡事故で請求できる賠償項目

死亡事故で請求できる賠償項目

死亡慰謝料は賠償総額の一部です。以下のすべての項目を漏れなく請求することが重要です。

  • 死亡慰謝料(本人分+近親者固有分)
  • 逸失利益(被害者が将来得られるはずだった収入の喪失)
  • 葬儀関連費用(葬儀費・墓石代等、150万円程度が認められることが多い)
  • 死亡までの傷害慰謝料・治療費(事故から死亡までに治療があった場合)
  • 近親者の慰謝料(民法711条に基づく遺族固有の請求)
  • 弁護士費用(訴訟提起時に損害額の10%程度が認められることが多い)

3つの算定基準と計算例

3つの算定基準と計算例

① 自賠責基準

死亡慰謝料は本人分350万円+遺族固有分(請求権者数に応じて550〜750万円)で上限1,100万円。

② 任意保険基準

各保険会社の内部基準。自賠責基準を上回ることが多いが、弁護士基準には及ばないのが通常。

③ 弁護士基準(裁判基準)

赤い本に基づく基準。自賠責基準と比較して大きく異なる金額になります。

【設例】独身男性・22歳・大学生・父母が遺族の場合  

●死亡慰謝料(弁護士基準「その他」)  
本人分+近親者分の総額目安:2,200万円〜2,800万円(事案による)  

●逸失利益  
基礎収入:全年齢男性平均賃金(令和6年賃金センサス)約568万円(参考値)  
生活費控除率:50%(独身男性)  
就労可能年数:67歳 − 22歳 = 45年 → ライプニッツ係数:25.730(3%)  
逸失利益:568万円 × 0.5 × 25.730 ≒ 7,307万円  

●葬儀関連費用:約150万円

●弁護士費用(提訴時):損害額の10%程度  
→ 死亡慰謝料+逸失利益+葬儀費用だけで約9,600万円超となりうる

弁護士に相談すべき理由

保険会社提示額との差額

死亡事故の場合、自賠責基準と弁護士基準の差額は慰謝料だけで1,400〜1,700万円以上になることがあります。逸失利益を含めると差額はさらに大きくなります。

すべての損害項目を漏れなく請求する

逸失利益・葬儀関連費用・弁護士費用など、慰謝料以外の項目も含めたトータルの請求を行うことが不可欠です。弁護士はすべての項目を精査して請求します。

増額事由の主張

飲酒運転・無謀運転・事故後の不誠実な対応等による増額は、裁判例に基づいた法的主張が必要です。

精神的な負担の軽減

深い悲しみの中で保険会社と交渉することは、遺族にとって大きな精神的負担です。弁護士に依頼することで、遺族が直接対応する必要がなくなります。

弁護士費用特約を活用してください

弁護士費用特約を活用してください

「弁護士費用が心配」という方は、弁護士費用特約をご確認ください。ご自身や同居のご家族が加入している自動車保険・火災保険等に付帯しているオプションで、弁護士費用を保険会社が負担してくれる制度です。

  • 相談料10万円・弁護士費用300万円が補償されるケースが一般的
  • 利用しても翌年の保険料は上がりません
  • 自分の保険以外(同居家族の保険・火災保険等)でも使える場合があります
  • 死亡事故の場合でも利用できます

▼ LINEで無料相談はこちら▼

「過失割合に納得いかない」「提示額が妥当か知りたい」「後遺障害について」など、
交通事故のお悩みはLINEからいつでもご相談いただけます。

まとめ

まとめ

後編のポイントをまとめます。

  • 「その他」区分の目安は2,000〜2,500万円。独身・子供・高齢者いずれも事案によって増減される
  • 内縁関係にある者も民法711条に準ずる者として慰謝料請求権を持つ
  • 胎児の死亡は妊娠週数・事案の状況によって150万〜800万円程度が認められている
  • 死亡慰謝料だけでなく逸失利益・葬儀費用等を含めたトータルの請求が重要
  • 弁護士費用特約があれば費用負担なく弁護士に依頼できる可能性が高い

大切な家族を失われたご遺族の方は、示談前にぜひ一度弁護士にご相談ください。

前編もあわせてご覧ください
死亡慰謝料【前編】基準額の解説・一家の支柱・配偶者・母親の裁判例

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所について

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所について

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、さいたま市大宮区に拠点を置く、設立35年以上の歴史を持つ法律事務所です。埼玉県内トップクラスの実績を誇り、交通事故専門チームを擁して多くの被害者・遺族の方をサポートしてきました。

死亡事故に関するご相談は初回無料で承っております。死亡慰謝料・逸失利益・葬儀費用等を含むトータルの賠償請求について、経験豊富な弁護士が丁寧にサポートいたします。

  • 所在地:埼玉県さいたま市大宮区
  • 対応エリア:埼玉県全域・首都圏
  • 初回相談:無料
  • 弁護士費用特約:対応可

▼ LINEで簡単相談▼

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 申 景秀
弁護士のプロフィールはこちら