頚椎の可動域制限

交通事故に遭って、頚椎捻挫(むちうち)や、骨折をした場合、頚椎(首)の「可動域制限」が残る場合があります。

可動域制限とは、本来、健常な方であれば稼働する関節の領域を言い、それが制限されることを言います。例えば、いままでは90度右を向けたのに、首がまわらなくなった等です。

可動域制限は、運動障害・機能障害とも言われ、「後遺障害」として認定されます。ただし、全ての可動域制限が後遺障害になるわけではなく、参考数値を超えた場合に、後遺障害として認められるという条件がつく場合があります。
したがって、ご自身の可動域制限を知るためには、本来、どの程度可動域があるのかを知る必要があります。以下、参考数値をご紹介して解説します。

頚椎(首)の可動域

頚椎(首)の可動域

稼働する部位には、参考可動域というものがあります。
日本整形外科学会身体障害委員会と日本リハビリテーション医学会評価基準委員会が作成した、「関節可動域表示ならびに測定方法(平成7年4月改訂)」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/32/4/32_4_207/_pdf

という基準があります。これが、参考可動域となります。

まず、運動の種類を押さえておきましょう。

① 屈曲:関節の角度を小さくする運動(前屈)
② 伸展:関節の角度を大きくする運動(後屈)
③ 外転:体肢を身体の中心面から遠ざける運動
④ 内転:体肢を身体の中心面に近づける運動
⑤ 外旋:体の前方に向かうある部分を外の方へ向ける運動
⑥ 内旋:体の前方に向かうある部分を内の方へ向ける運動
⑦ 回外:前腕軸を中心にして,掌を上に向ける運動
⑧ 回内:前腕軸を中心にして,掌を下に向ける運動

※屈曲(おじぎをするような運動)60度+後屈(後ろに首を反らして上を向く動作)50度
合計110度
※回旋(首を回す運動)左右に各60度(左回旋・右回旋)合計120度
※側屈(首をかしげるような動作)左右に各50度 合計100度

可動域制限について

可動域制限について

骨折や神経損傷で、関節部分の可動域が制限されると、一番重いケースでは、「硬直」して固まって動かなくなる事例もあります。硬直してしまうと、可動域「0度」ということになります。
この可動域によって、後遺障害の認定が変わってきます。

このような可動域制限による後遺障害は、一般的に、「機能障害」と呼ばれています。

そして、可動域は、左右で比較ができる場合、負傷したほうと、健康なほう(健側)比べることになります。比較ができない場合や、比較が相当ではない場合は、上で見た参考可動域を基準とします。

後遺障害は、可動域制限が、健側(参考可動域)の4分の3以下になっていたら12級、2分の1以下なら10級というような基準が設けられており、これに該当したら、後遺障害等級が認定されることになります。

可動域制限の注意点

可動域制限の注意点

可動域制限があるからと言ってすべて後遺障害になるわけではありません。

可動域制限は、その原因となるケガや、画像所見が必要です。
例えば、骨折による偽関節、関節内もしくは関節を構成する骨の骨折や脱臼、靭帯損傷があり、画像(レントゲン、CT、MRI等)で確認ができることが必要です。画像は、受傷時のものと、症状固定時期のものが必要で(自賠責では、治療期間の全画像を求められます)、当初ケガをしていても、経過良好で、固定時に所見が認められない場合は、後遺障害も否定される可能性があります。

したがって、後遺障害診断書の画像所見欄に、「こういう画像所見がある」と医師に指摘して記載してもらうことが重要です。

むちうちの場合は、たとえ関節可動域制限があっても、それを機能障害として評価されることはまずありません。なぜなら、骨折や神経損傷による「器質的変化」が見当たらないからです。したがって、14級や12級の「神経症状」の参考評価になる程度となります。

脊柱の圧迫骨折・脊柱の運動障害

脊柱の圧迫骨折・脊柱の運動障害

以上のように、器質的変化のない「頚椎捻挫」等の診断名で、いくら可動域制限があっても、参考程度の評価になるだけであり、後遺傷害が認められることにはなりません。

他方で、脊柱圧迫骨折等により、頚椎の可動域が、参考可動域(通常人の可動域)の1/2以下に制限された場合は、「脊柱に運動障害を残すもの」として、8級に該当するとされています。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 申 景秀
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