モペットや電動キックボードで交通事故が起きたときはどうなる?過失割合は?弁護士が解説します

最近、電動キックボードやモペットと言われる乗り物を街中で見かけることが増えました。特に、都内で急増中とのニュースもでています。こうした乗り物は、交通ルールが一般的に周知されていないこともあり、交通事故も増加傾向にあるようです。そこで、電動キックボードやモペットで交通事故が起きた場合の概要について、交通事故に詳しい弁護士が説明と解説をします。

モペットと電動キックボードの法的規制

モペットと電動キックボードの法的規制

■モペットは、総排気量50cc以下または定格出力600w以下のペダル付き原動機付き自転車のことをいいます。レンタルサービスも増えているので、ちょっとした移動や通勤で使う人もいます。モペットの運転には、普通自動車免許か原動機付自転車免許が必要で、道路交通法上は、いわゆる原付バイクと同じ扱いになります。

※いわゆる電動自転車(伝送アシスト自転車)とは違います

原付と同じ扱いなので、ヘルメットの装着も必要です。

また、ナンバープレートの表示、免許証の携帯、自賠責保険への加入、ブレーキランプの表示なども必要です。

■電動アシスト自転車

電動自転車と呼ばれるものです。これは、道路交通法上は「軽車両」(自転車)として扱われています。

■電動キックボード

電動キックボードも、ペダルがなく、キックボードの形をしていますが、電動で自動で進むものです。令和5年(2023年)7月1日から、電動キックボードなどに関する改正道路交通法が施行されました。これまで電動キックボードは、いわゆる原付バイク又は自動車と同じ扱いで、運転免許が必要でした。それが道路交通法の改正により、一定の基準を満たす電動キックボードは、「特定小型原動機付自転車」と定義され、16歳以上であれば、運転免許がなくても運転ができるようになりました

電動キックボードのうち、免許が不要となるものは、次の基準を全て満たすもので、「特定小型原動機付自転車」といいます。

特定小型原動機付自転車の基準

○車体の大きさ
長さ:190センチメートル以下
幅:60センチメートル以下

○車体の構造
原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること。

時速20キロメートルを超えて加速することができない構造であること。

走行中に最高速度の設定を変更することができないこと。

オートマチック・トランスミッション(AT)であること。

最高速度表示灯(灯火が緑色で、点灯又は点滅するもの)が備えられていること。

これらの基準を満たさない電動キックボードは、令和5年(2023年)7月1日以降も引き続き、一般原動機付自転車(原付バイク)又は自動車の車両区分に応じた運転免許が必要です。

また、電動キックボードは、ヘッドライトやブレーキランプなどの国土交通省が求める保安基準を満たした装置を備えた車両でなければ、道路での走行が許されていません。この基準を満たした製品には、「性能等確認済シール」や「型式認定番号標」が付けられています。

モペットや電動キックボードで交通事故が起きたら?

モペットや電動キックボードで交通事故が起きたら?

交通事故に関する流れは、基本的には、車で交通事故が起きた場合と変わりません。

それなので、以下のようなことをまずは心がけてください。

①まずは警察、救急に通報しましょう。

①まずは警察、救急に通報しましょう。

事故が起きてすぐにすべきことは2つあります。それは人命の救助と警察への通報です。まずは警察に事故が発生したことを通報しましょう。通報は、加害者・被害者どちらからでも良いです。

また、ケガの大きさや事情にもよりますが、ケガがありそうであれば、場合によっては救急車の要請もしてください。警察が到着したら事故の状況説明です。

警察に交通事故を知らせないと、「事故証明書」が発行されません。これは、事故があったことを証明する書類ですので、必ず取得する必要があります。

②保険会社に連絡すること

②保険会社に連絡すること

任意保険に加入している場合には、保険会社にも事故に遭ったことを連絡しておきましょう。保険会社への連絡は当日中という決まりはありませんが、その後の手続きを円滑に進めたいのであれば、可能なかぎり早く連絡しておくことをおすすめします。

事故から日数が経ってしまった場合は、適用できない保険もでてきてしまうのでご注意ください。

③安易にその場で示談しないこと

③安易にその場で示談しないこと

よく、「ケガも物損もたいしたことないしお互いに何もなしでどうでしょう」とか、「1~2万円払うからこれで終わりにしましょう」とか「警察が入るとお互いややこしくなるので」というやりとりがされ、その場でお金を受け取ってノート等に1筆を書いたり、警察に通報しないまま事故を終わらせるケースがあります。

しかし、事故にあった直後は気が動転して痛みを感じないことがあるし、車も検査してみないと修理の必要があるかどうかはわかりません。それにもかかわらず、安易に示談してしまうと、後から損害に気づいても、請求できない可能性があります。

したがって、事故の場では、示談の話はしないという事を心がけてください。

④連絡先の交換と証拠集め

④連絡先の交換と証拠集め

相手とは連絡先の交換をしておきましょう。相手が保険に入っていれば、今後は加害者の加入する保険会社とのやり取りがメインになりますので、保険会社を聞いておく必要があります。保険会社に入っていない場合は、加害者本人との連絡が必要になります。少なくとも、『名前』『住所』『電話番号』を交換しておくと、その後の手続きがスムーズに進むと思われます。

次に、事故状況やモペット・キックボード・車などの傷を写真に撮っておきましょう。スマートフォンのカメラで十分です。後から活用できるかもしれませんし、写真が証拠となります。

⑤事故直後に通院すること

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もし救急で運ばれたら、病院で検査を受けることができます。

救急車を呼ばなかった場合は、事故当日か遅くとも翌日には病院で診察を受けてください。事故直後は興奮して痛みを感じないこともあるようです。

事故から日にちが経って病院に行くと、事故との因果関係が疑われてしまいます。その場合は、病院に行かなかった(いけなかった)理由について、被害者側が証明しなければいけないことになってしまいます。

モペットや電動キックボードの交通事故で認められる積極損害

モペットや電動キックボードの交通事故で認められる積極損害

まずは、積極損害という言葉があります。

積極損害とは、交通事故に遭ったことにより、被害者が現実的に出費せざるを得なくなった損害(出費)のことです。

一般的積極損害としては、治療関係費、入院雑費、交通費、付添看護費、将来の介護費用、装具・器具購入費等、家屋等改造費、葬儀関係費、その他文書料などです。

以下では、積極損害として認められる可能性のある損害をご紹介します。

治療関係費

治療関係費

治療費や入院費は、「必要かつ相当」な範囲で実費が認められるとされています。したがって、特殊な治療をうけても、「相当では無い」と判断されることもあります。

症状固定の後の治療費は、原則として認められません。もっとも、症状の内容・程度に照らして必要かつ相当なものは認めた例があります。

入院中の特別室使用料(個室ベッド)は、医師の指示があった場合や、症状が重篤であった場合、空室がなかった場合等の特別な事情がある場合にかぎり、認められる余地があります。

整骨院・接骨院の施術費用は、医師の指示の有無が重要で、それを参考にして、相当額のみ認められます。針灸、マッサージ、温泉治療も同様です。

入院雑費

入院雑費

1日あたり1500円の額を基準とします。

交通費

交通費

入退院や通院の交通費は実費となります。ただし、タクシーの場合は、ケガの程度によります。よく、むちうちの症状で、病院にタクシーに通う方がいて、保険会社とトラブルになっています。むちうちで歩けないということは滅多にないので、タクシー代は、急性期ならまだしも、そういったケースでは認めるのが難しくなってきます。

自家用車利用の場合は、1㎞あたり15円でガソリン代を認めます。

※近年、ガソリン代が高騰化していますが、実務では、1㎞15円で変る気配はありません。

近親者の付添やお見舞いの交通補は、原則として認められません。どうしても必要な場合のみということになります。

付添看護費

付添看護費

必要があれば入院または通院の付添費用は損害とされていますが、医師の指示、症状の程度・被害者の年齢等から検討されます。乳幼児の場合は、認められる傾向にあります。

職業付添人(外部委託、外部業者)が必要な場合は、実費が認められます。

家族等の近親者が付添人となる場合には、1日につき6000円が損害として認められます。

病院が完全看護体制を採っていても、内容によっては家族の付添費用が認められます。

通院付添費は、家族等の近親者が付き添う場合には、1日につき3300円とされています。

将来の介護費

将来の介護費

症状固定後でも、被害者の介護が必要な場合は、症状の程度に応じた必要かつ相当な範囲で、将来介護費が認められる可能性があります。

職業付添人の場合は、原則として、平均余命までの間、必要かつ相当な実費となります。

近親者による付添の場合は、常時介護と認められれば1日につき8000円、随時介護(入浴、食事、排せつ等、行動の一部について介護を要する場合)の場合は、介護の程度に応じて相当額を損害と定めます。

身体介護だけではなく、看視的付添を要する場合も、認められるケースがあります。

装具・器具等購入費

装具・器具等購入費

装具・器具等の購入費用については、症状の内容・程度に応じて、必要かつ相当な範囲で認められます。

車椅子・義手・義足・電動ベッド・歩行具、車いす、サポーター等がよくあてはまります。

一定期間で交換が必要なものは、将来の費用も加算されます。

※将来の装具・器具購入費用は、取得額相当額を基準に、使用開始の時及び交換時期に対応して、中間利息を控除する

→難しいの、装具の買換が必要な場合は、ご相談ください。

家屋改造費等

家屋改造費等

家屋改造費、自動車改造費、調度品購入費、転居費用、家賃差額等は、後遺症の程度・内容等により、必要性かつ相当な範囲で損害として認められます。

当然、改造の必要があることが客観的にわかることが重要で、例えば、高次脳機能障害による1級の場合は、自宅にいるといままでのレイアウトでは生活ができないので、家屋改造が必要でしょう。施設に入る予定なのに、改造費がでるかという論点もあります

難しい論点です。

葬儀関係費

葬儀関係費

交通事故により、被害者が死亡した場合は葬儀費用が損害として認められます。

原則として150万円です。ただし、150万円を下回る場合には、実際に支出した実費額が損害とされます。

モペットや電動キックボードの交通事故で認められる消極損害

消極的損害と言われるものは以下の通りです。

・慰謝料
・後遺障害慰謝料

こちらで詳しく解説しています。

https://www.g-koutujiko.jp/info/jikoiysaryou/

・逸失利益

こちらで詳しく解説しています。

https://www.g-koutujiko.jp/column/20230920-1/

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリット

積極損害でも消極損害でも、保険会社と争いになることがほとんどです。

特に、慰謝料や逸失利益は金額が大きいので争いになりがちです。

弁護士に依頼をすることによって、これらの交渉や手続、裁判を代理で行うことができます。

また、弁護士特約に加入されている場合は、弁護士費用が原則として300万円まで保険ででます。

こうした事がメリットになります。弁護士特約に加入している場合は、法律相談費用もでますので、まずは相談すると良いでしょう。

ご相談 ご質問

ご相談 ご質問

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。

また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。入院中でお悩みの方や、被害者のご家族の方に適切なアドバイスもできるかと存じますので、まずは、一度お気軽にご相談ください。


■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 申 景秀
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