【交通事故】物損事故でも弁護士に相談すべき?知っておきたい3つのメリット

交通事故と聞くと、まず「人身事故」を思い浮かべる方が多いかもしれません。怪我人が発生する人身事故は、治療や慰謝料、後遺障害といった複雑な問題が絡むため、弁護士の必要性が認識されやすいでしょう。

しかし、車両や物に損害が発生した物損事故の場合、「弁護士に相談する必要はないだろう」「保険会社に任せておけば大丈夫」と考えてしまう方が少なくありません。

実は、物損事故であっても、弁護士に相談することで得られるメリットは非常に大きく、知らずに損をしてしまっているケースもあります。

適正な賠償金を受け取るための交渉を任せられる

適正な賠償金を受け取るための交渉を任せられる

「事故の修理費用は保険会社が払ってくれるから安心」とお考えの方は多いと思います。確かに、保険会社は修理費用を支払ってくれます。
しかし、事故に遭われた方が受け取るべき賠償金は、修理費用だけとは限りません。
そして、保険会社が提示する賠償額が、必ずしも法的に適正な金額であるとは限らないのです。

見落とされがちな賠償項目を網羅する

見落とされがちな賠償項目を網羅する

物損事故で請求できる賠償項目は多岐にわたります。主なものだけでも、以下の項目が挙げられます。

①車両の修理費用:事故で損傷した車両を修理するためにかかる費用です。

②買替費用: 修理が不可能、または修理費用が車両の時価額を上回る(経済的全損)場合、車両を買い換えるための費用です。

③評価損(格落ち損害): 事故歴が付いたことで、修理後も車両の市場価値が下落する損害です。これは、特に高年式・低走行距離の高級車や人気車種などで認められやすい項目ですが、保険会社は自らこの項目を提示することは稀です。

④代車費用: 車両の修理期間中や買い替え期間中に、代わりの車両を使用するための費用です。保険会社によっては期間や車種に制限を設けることがあります。

⑤休車損害: 事故車両が営業車や事業用車両であった場合、修理や買い替え期間中にその車両を使用できないことで生じる営業上の損失です。タクシーや運送業者の車両などが該当します。

⑥積載物の損害: 車両に積んでいたゴルフバッグやチャイルドシート、スマートフォンなどの物品が破損した場合の損害です。

⑦レッカー費用・搬送費用: 事故現場から車両を修理工場などへ運搬するための費用です。

⑧登録手続関係費用: 車両の買い替えに伴う登録費用や車庫証明費用などです。

これらすべての項目を個人で把握し、保険会社と交渉するのは困難です。保険会社は、あくまで自社の基準に基づいて賠償額を提示してきます。

そのため、本来であれば請求できるはずの項目が提示されなかったり、提示額が低く抑えられたりするケースが少なくありません。

弁護士を入れることで、これらの賠償項目を網羅し、法的な根拠に基づいた適正な賠償額を算定することが期待できます。

そして、あなたの代理人として保険会社と交渉することで、あなたが本来受け取るべき金額を最大限に引き出すためのサポートを行います。

特に、保険会社が認めにくいとされる評価損の交渉においては、専門知識と経験が不可欠です。

保険会社の提示額の妥当性を判断し、増額交渉を行う

保険会社の提示額の妥当性を判断し、増額交渉を行う

保険会社から提示された賠償額が、果たして本当に適正な金額なのか、判断は必ずしも容易ではありません。例えば、修理費用一つ取っても、保険会社指定の修理工場と、あなたが信頼する修理工場とで、見積もりが異なることもあります。

また、過失割合の認定も、保険会社の一方的な主張で不利な割合を押し付けられている可能性もゼロではありません。

弁護士は、過去の判例や法的基準に基づいて、保険会社の提示額が妥当であるかをチェックします。もし提示額が不当に低いと判断された場合、法的根拠を明確に示し、具体的な増額交渉を行います。

過失割合の適正化

事故状況を詳しく分析し、不当な過失割合を修正するための証拠(ドライブレコーダー映像、目撃証言など)を収集し、交渉します。

修理費用の精査

不当に低い見積もりや、過剰な修理内容がないかを精査し、適正な修理費用を請求します。

評価損の請求

先述の通り、保険会社が認めにくい評価損についても、専門的な知識と資料を用いて交渉します。

このように、弁護士が介入することで、保険会社との力関係が対等になり、あなたが不利な条件で示談を結んでしまうリスクを減らすことができます。

煩雑な手続きや交渉から解放され、精神的負担を軽減できる

煩雑な手続きや交渉から解放され、精神的負担を軽減できる

交通事故に遭うということは、それ自体が大きな精神的ストレスを伴います。事故後の対応は多岐にわたり、慣れない手続きや保険会社との交渉は、そのストレスをさらに増幅させることになります。

保険会社とのやり取りをすべて任せられる

保険会社とのやり取りをすべて任せられる

事故後、保険会社からはひっきりなしに電話がかかってきたり、書類の提出を求められたりします。普段の生活や仕事がある中で、これらに対応するのは想像以上に大変です。

特に、加害者側の保険会社との交渉は、専門用語が飛び交い、感情的にもなりやすく、大きな負担となるでしょう。

弁護士に依頼すれば、保険会社とのすべてのやり取りを弁護士が代行します。

あなたは、弁護士からの報告を受けるだけでよく、直接保険会社と交渉する必要がなくなります。これにより、精神的なストレスから解放され、日常生活を平穏に取り戻すことができます。

電話対応

保険会社からの電話はすべて弁護士が受けます。

書類作成・提出

必要な書類の作成や、保険会社への提出も弁護士が行います。

状況説明・証拠提出

事故状況の説明や、証拠(写真、診断書、修理見積もりなど)の提出も弁護士が対応します。
これにより、あなたは治療や車両の修理、そして何よりも心のケアに専念することができます。

事故対応の専門家によるサポート

事故対応の専門家によるサポート

交通事故は突発的に発生するため、多くの人にとって初めての経験です。そのため、「何をどうすれば良いのか分からない」「この対応で正しいのか」といった不安に苛まれることは少なくありません。

当事務所では交通事故チームを設け、交通事故事件を集中的に扱っております。事故直後の初動対応から、示談交渉、万が一の訴訟対応まで、一連の流れを把握しています。

適切な情報提供

事故状況に応じた法的なアドバイスや、今後の見通しを明確に示してくれます。

手続きの抜け漏れ防止

損害賠償請求に必要な書類の準備や、時効の管理など、見落としがちな手続きを確実に遂行します。

有利な証拠の収集

事故状況を立証するためのドライブレコーダー映像、目撃者証言、事故現場の写真などの証拠収集についてアドバイスし、必要に応じて弁護士自ら収集を行うこともあります。
このようなサポートがあることで、安心して事故解決を進めることができます。

示談交渉の早期解決につながる

示談交渉の早期解決につながる

交通事故の示談交渉は、当事者同士や保険会社任せにしていると、往々にして長期化する傾向にあります。

特に、賠償額や過失割合で意見の対立がある場合、いつまでも解決しないといった事態も起こり得ます。

弁護士介入による交渉促進効果

弁護士介入による交渉促進効果

弁護士が介入することで、交渉がスムーズに進み、早期解決につながる可能性が高まります。これは、主に以下の理由によります。

法的知識に基づいた交渉

法的な根拠に基づき、客観的なデータや過去の裁判例を用いて交渉を進めます。
これにより、感情的な対立を避け、論理的な議論で解決を図ることができます。
保険会社も、法的な正当性を無視することはできません。

保険会社の対応の変化

弁護士が代理人となると、保険会社は訴訟も視野に入れざるを得なくなります。訴訟となれば、時間や費用、労力がかかるため、保険会社としてはできるだけ示談で解決したいと考えるのが一般的です。

そのため、弁護士からの交渉には、個人からの交渉よりも真剣に対応せざるを得なくなり、結果として交渉が促進される傾向にあります。

解決基準の明確化

弁護士は、過去の裁判例に基づいて適正な賠償額の基準(「弁護士基準」または「裁判基準」と呼ばれます)を提示します。保険会社が提示する基準(「任意保険基準」)よりも高額になることがほとんどですが、この明確な基準を示すことで、交渉の落としどころが見えやすくなります。

このような弁護士の介入により、不要な長期化を避け、早期に示談が成立しやすくなるのです。

示談が決裂した場合の訴訟対応も視野に

示談が決裂した場合の訴訟対応も視野に

万が一、示談交渉が決裂してしまった場合でも、弁護士を介入させておくことのメリットは大きいです。
弁護士は、示談交渉で解決に至らなかった場合に、訴訟(裁判)への移行も視野に入れて対応を進めることができます。

個人で訴訟を起こすことは非常にハードルが高く、多くの知識と労力を必要とします。しかし、弁護士がいれば、訴状の作成から裁判所での弁論、証拠の提出まで、すべてを任せることができます。

もちろん、全てのケースで訴訟になるわけではありません。

しかし、弁護士という存在が訴訟も辞さない姿勢を示すことで、保険会社もより真剣に示談での解決を検討するようになる、という側面もあります。

結果として、より有利な条件での示談成立につながることも少なくありません。

弁護士費用特約を活用しましょう

弁護士費用特約を活用しましょう

「弁護士に依頼すると費用が高いのではないか?」と心配される方もいるかもしれません。しかし、もしあなたが弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用の心配はほとんど不要です。

弁護士費用特約とは、交通事故に遭った際、弁護士に法律相談や交渉、訴訟を依頼した場合の費用を、保険会社が一定額(一般的には300万円程度まで)負担してくれるという特約です。この特約を利用しても、保険の等級が下がることは基本的にはありません。

せっかく弁護士費用特約の保険料をお支払いいただいているのであれば、これを使わない手はありません

ご自身の保険証券を確認するか、加入している保険会社に問い合わせて、弁護士費用特約が付帯しているかを確認してみましょう。

もし加入していれば、費用を気にすることなく、気軽に弁護士に相談することができます。

特約がない場合でも、当事務所では、原則として着手金無料方式を採用しているため、最初の費用は掛かりません

まとめ

まとめ

物損事故は、一見するとシンプルな事故に見えるかもしれませんが、その裏には多くの法的問題や交渉の落とし穴が潜んでいます。

適正な賠償金を受け取るための交渉、煩雑な手続きや交渉からの解放、精神的負担の軽減、示談交渉の早期解決など様々なメリットがあります。

これらのメリットは、あなたが物損事故で最大限の利益を得るために、また精神的な安定を手に入れるために重要です。

「物損事故だから」と諦める前にまずは一度、交通事故問題に詳しい弁護士に相談してみてください。

物損事故に遭ってしまったら、一人で悩まず、弁護士という強い味方を頼ることをぜひ検討してみてください。あなたの人生を立て直すための一歩を、弁護士が全力でサポートします。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 遠藤 吏恭
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