紛争の内容
依頼者様は,「車」対「人」の交通事故による被害者で,足の甲に「擦過創」を負い,その後も痛みがとれず,6か月間の通院を余儀なくされました。その後,依頼者様は,弁護士費用補償特約(弁護士費用が保険で賄われる特約であり,自動車保険に付帯していることが多い)を利用し,当事務所にて,紛争処理センターへのあっせんを依頼されました。なお,誤解されることが多いのですが,弁護士費用補償特約を利用した場合でも,保険会社の指定する弁護士に限定されてしまうことは通常ありません。
今回の最大の特徴は,自動車に乗車中の加害者と被害者とが路上で口論になった際に生じた事故であったため,加害者側の保険会社から「過失相殺」の主張がなされたことです。
なお,「過失相殺」とは,平たく言えば,被害者にも注意不足があって事故が生じた場合に,その注意不足の程度に応じて損害賠償額が減額されてしまうことです。
しかし,「過失相殺」が主張される事案の多くは,加害者と被害者の言い分に食い違いが生じており,加害者側保険会社の主張する事実が正しいとは限りません。
本件でも,加害者側保険会社から「過失相殺」の主張がなされましたが,依頼者様の言い分を前提とする限り,被害者に過失はない可能性が高いと考え,紛争処理センターへあっせんを申し立てました。

交渉・調停・訴訟などの経過本事例に学ぶこと/span>
紛争処理センターへの申立手数料は無料,裁判よりもハードルは低く,裁判基準を意識した解決策が示されるため,優れた紛争解決手段といえます。
特に,事実関係に大きな争いがなく,保険会社側から根拠の乏しい主張がなされた場合(「赤い本の基準は判決が出たときの基準であるため,交渉段階では裁判基準の8割で和解して欲しい」等)には,紛争処理センターのあっせん手続を検討すると良いでしょう。
今回の事案は,過失の判断の前提となる事実関係にも争いがありました。しかし,保険会社側の主張よりも我々弁護士の主張の方が筋は通っている(と自負していた)こともあり,裁判を見越しつつ,紛争処理センターにあっせんを申し立てることにしました。
結果としては,予想どおり,裁判基準とほぼ同額の和解案が示されましたので,依頼者様の納得のいく金額で示談を成立させることができました。
交通事故の案件では,加害者側保険会社から理不尽な和解案が示されることも多いため,まずはお気軽に当事務所までご相談下さい。