紛争の内容
相談者は、道路上で許可を得て測量作業中に、外国人が運転する無保険の自動車に轢かれ、大けがを負いました。その後、治療中から弁護士にご相談いただき、後遺障害獲得を視野に、治療に専念しました。登場人物は、加害者、加害者を使用していた会社、依頼者の任意保険会社です。

交渉・調停・訴訟などの経過
順序としては、以下のとおりです。
① 自賠責保険会社に後遺障害の申請を行い、10級の後遺障害を獲得(自賠責保険支払)
② 加害者及び同会社に訴訟を提起
③ ②の途中に労災認定がなされ、7級の後遺障害を獲得
④ ②の訴えを変更し、7級を前提に損害額を請求
⑤ ほぼ依頼者の主張どおりの②判決が出され、確定
⑥ ②判決を前提に自賠責に異議申立てを行った結果、後遺障害6級に格上げ(自賠責保険支払)
⑦ ②判決及び⑥を前提に、依頼者の任意保険会社に、無保険車傷害保険金を請求
⑧ 無保険車傷害保険金の支払

本事例の結末
後遺障害は、10級から6級に上がりました。
依頼者は、自賠責保険から約1700万円の保険金を受け取ったほか、任意保険会社から無保険車傷害保険金として約5100万円が支払われました。これとは別に、治療費は労災から支払われており、総額およそ7000万円の賠償を受けることができました。

本事例に学ぶこと
後遺障害については、自賠責の認定が正しいとは限りませんので、注意が必要です。本件では、自賠責の当初の認定後、加害者との裁判、労災での認定を経て、異議申立てを行った結果、4級もの後遺障害等級の認定違いがあることが明らかとなりました。自賠責保険金の後遺障害慰謝料だけを見ても、3倍以上の金額の差が生じます。もちろん、自賠責保険金は、全体の損害賠償請求権の一部に過ぎませんから、実際には、逸失利益等の計算も大きく異なるため、何倍もの差が生じることも少なくありません。
もし、大きな事故に遭われた方やご自身の後遺障害等級に納得ができない方がいらっしゃれば、当事務所にできるだけお早めにご相談されることを強くお勧めします。

ところで、保険会社によって、約款の内容が異なります。今回、加害者が無保険である一方、運よく自己の任意保険が適用されたため、自己の保険会社から無保険車傷害保険が支払われました。
しかし、もし加害者に対する訴訟を提起していなければ、後遺障害10級を前提に、かつ裁判基準満額での解決ですら難しかったと思われます。これは、保険会社との約款上「協議」により定めるとされていることから、保険会社独自の基準や主張を受けることが多いからです。また、仮に、加害者との間で判決により損害額を確定したとしても、自己の任意保険会社は当事者に入っておりませんので、判決に拘束されるとも限りません。そのため、いずれにしても、保険会社との交渉には、粘り強さのみならず、保険会社の約款、保険会社内部の事情をある程度把握していることが、とても重要となります。
当事務所は、本件のような保険会社との交渉経験を踏まえ、保険実務にも精通した弁護士が複数在席しております。
特に、大きい事故に遭い、怪我の程度が大きい方であれば、保険会社がそれなりの金額を提示してくることが多くあります。例えば、本件でも、保険会社は当初、3000万円近くの金額を支払うので、加害者への訴訟ではなく【協定】してほしいと口頭で述べておりました。このように言われると、受けてしまう人も少なくないのではないでしょうか。しかし、本件では、実際に、その倍以上の金額で賠償を受けることができました。もし仮に、本件で、3000万円の協定に応じていたら、4000万円近くの金額を諦めているのと同じ結果になってしまいます。
保険会社等と示談や協定を結ぶ前が勝負です。どうぞお気軽に、弁護士にご相談ください。