紛争の内容
相談者は、駐車場の駐車スペースに駐車しようとしたところ、近くに駐車していた相手車両が出庫しようと後方を確認しないまま後進してきたことにより、右フロントドア部分に追突されました。

相談者は、自身の自動車保険に弁護士費用特約が付帯されていたことから、弁護士費用を負担することなく賠償金を受け取ることができる状況でありました。

相手加入の保険会社とのやり取りに不満を持ち、自身での対応困難ということで、示談交渉のご依頼をいただきました。

交渉・調停・訴訟等の経過
依頼者及び相手の車両にはドライブレコーダーが搭載されていなかったものの、修理会社作成の見積書や事故直後の依頼者車両の写真等を利用し、弁護士が損害額及び事故態様等に関する主張を書面にまとめ、依頼者の確認を経て、相手保険会社との示談交渉を進めました。

本事案の結末
当初、相手保険会社は右フロントドアの傷はドアパンチ(駐車中にドアを開けた際に隣の車にぶつけて傷つけてしまうことをいいます)によるものではないかという「印象論」を主張してきましたが、事故前にドアパンチ被害がなかったこと及び事故直後に依頼者と相手が損傷箇所について確認し合ったことを主張しました。

結果として、修理費用全額の支払いを受け取る内容で示談が成立し、免責証書を作成しました。

本事例に学ぶこと
たしかに、事故状況を証明する証拠としてドライブレコーダーはとても有用であります。しかし、ドライブレコーダーがないからといってこちら側の主張が一切認められない訳ではありません。他証拠を収集し、依頼者の事故態様に関する主張と実際の車の損傷具合に不合理な点がないことを積極的に主張することによって、交通事故に遭われた被害者が本来受け取るべき損害賠償金を受け取ることは可能であります。

弁護士 時田 剛志
弁護士 安田 伸一朗