紛争の内容
過失割合100:0の交通事故の被害者からのご相談でした。
相手保険会社との争点は、傷害慰謝料の金額、休業損害の金額でした。
傷害慰謝料については保険会社の任意基準に基づく計算(よくある自賠責保険1日4300円×通院日数×2倍ないし3倍)、休業損害については社員として働いてもいたため給与ベースの減額分しか認めない、という主張がされておりました。
交通事故専門チームを擁するグリーンリーフ法律事務所の弁護士は、反論の余地があると考え、依頼を受けることになりました。

交渉・調停・訴訟などの経過
まずは、損害額を弁護士基準(裁判基準)で計算し、その算定式を示すことにしました。
具体的には、傷害慰謝料については、通院【実日数】をベースに計算するのではなく、通院【期間】をベースに計算する方法を取りました。
また、休業損害についても、給与ベースでみると僅少でしたが、依頼者は家族(夫、子も4名)の家事を一手に担っていたこともあり、給与ベースではなく、兼業主婦としての休業損害を計算した方が高額になるため、主婦休業損害を基に計算する方法を取りました。
しかしながら、示談交渉では、相手保険会社の回答が遅く、かつ金額も主婦休業損害を全面的に認めてきませんでしたので、仕方なく、紛争処理センターの利用を余儀なくされました。

本事例の結末
紛争処理センターでは、委嘱を受けた斡旋委員の弁護士と、複数回に亘り、電話会議を実施しました。
その間、休業損害を証明するため(主婦としての休業は、会社が休業損害証明書を出して休業日が明確なものと異なり、厳密な意味での立証が極めて難しいものです)、陳述書を作成し、できるかぎり、事故から症状固定までの身体の状況の変化や家事の支障の程度が客観的に分かるように示すことにしました。
その結果、斡旋委員は、傷害慰謝料としては、当方の主張を100%認め、相手保険会社も認めました。
また、主婦休業損害についても、全額とはいきませんでしたが、事故から症状固定までの変化に応じて、休業損害比率を認め、相手保険会社の主張よりも大幅に40万円程度高い金額の休業損害が認められました。

本事例に学ぶこと
交渉と裁判のいわば中間に位置する制度として、交通事故紛争処理センターという団体があります。
この機関は、当事者間で話がつかない場合に第三者的な立場からあっせんをしていただけるというメリット、担当するのが実務に精通した弁護士のため主張を理解してもらいやすいというメリット、基本的に三~四回程度の期日で終わるため裁判と比べて大幅に時間が短いというメリット、手数料がかからないというメリットがあり、弁護士としても積極的に利用を検討しております。
相手保険会社との話し合いが平行線になった場合には、裁判よりも簡易な制度として利用することを検討するとよいです。
交通事故に詳しい弁護士をお探しの方は、ぜひグリーンリーフ法律事務所までご相談ください。
紛争処理センターの利用についても、原則として、弁護士費用補償特約を利用して弁護士が進めることができますので、ご安心ください。
弁護士 時田 剛志