紛争の内容
相談者は、朝の通勤のため、県内の道路を直進していた男性会社員で、相手方は同道路に一時停止義務のある脇道から右折にて進入しようとしてきた男子大学生、いずれも四輪自動車の事案でした。
相手方は、相談者から相手方の自動車が見える状況であったにも関わらず、相談者が携帯電話で通話しながら走行していた前方不注視状態であったとして、自身の無過失を主張しました。
相談者は携帯電話を使っていた事実はなかったし、相手方は右折で進入するに当たり、直進道路を中止せず、また徐行もしていなかったと反論しました。

交渉・調停・訴訟などの経過
相手方とは交渉では折り合わず、相談者を原告、相手方を被告として損害賠償請求訴訟を提起するに至り、その中では、衝突した地点を自動車窓ガラスの破片の落ちた位置から立証したほか、当時の道路状況などを警察の保管記録から立証し、徹底的に争うこととしました。

本事例の結末
裁判所は、相手方からの視界が非常に悪く、慎重に右折すべきところを、前方を中止せずに速度も緩めないまま進行した過失があるとして、相手方に9割の過失を認めました。
相手方は控訴しましたが、控訴審においても、和解はできず、一審の結果が維持され、相手方の保険会社から、相談者の請求認容額を支払ってもらうことが出来ました。

本事案に学ぶこと
「相手方の主張の不自然な部分を、動かしがたい証拠により証明する」ということを重ねていくことが、交通事故において争う際には必須と感じました。